第10話 日陰

 田舎町の裏側にあるガラクタ置き場。

 古いブラウン管テレビと廃車、何が入っているのか分からない箱。

 瓶が積まれたカゴ、使われなくなった家電製品が放置されている。

 ハジメは腕を組み、うん、と頷く。


「ここで何かやってたんだよ。俺はあっち探すから、ひゅうちゃんは反対ね」

「何を探せば……」

「ひゅうちゃん」


 ハジメは優しい笑顔を浮かべる。


「ちょっとした息抜きだからさ、面白そうなもの見つけて持ち寄ろう。そんでスマホで撮ってかなたちゃんに見せよう」

「……うん」

「よし、じゃあ一旦解散!」


 ガラクタの山を探る。

 廃車の中、箱の中を覗き、奥まで探す。

 底に見えた前輪と単眼ヘッドライト、年数が経過して錆びついている。

 フロントのカゴは歪み、ウィンカー部分は捻じ曲がっていた。

 ひゅうちゃんは青ざめ、口元を押さえた。

 一歩後ろに下がる。

 背中が何かとぶつかった。

 ゆっくり振り返ると……羨望か猜疑心に塗り固められた目つきをした少年が見下ろしていた。

 無愛想で、眉間に皺を寄せている。

 声を出す暇もなく口を塞がれたひゅうちゃん。

 ガラクタの壁に押し込まれてしまう……――。

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