第49話 能島ムラカラが配下になった

 待っていたはずの黒糖を、上の空で受け取った豪姫は物凄い低姿勢で俺を居城に招き入れた。


 シチロウは、オウテキ・シチロウと名乗ったため、船大工達に取り囲まれて何か蘊蓄うんちく垂れて居る。

 シチロウのオウテキ家は造船王と名高い名家、海賊にまで名が知れ渡って居るようだ。




「……」


 平伏し何も言わない豪姫達、(ここまで恐れられて居るとは…配下に取り立てると言って、仕官してくれるか?)


「ムラカラ・ゴウこの状態では話が出来ん、同じ女の身で頭を勤める者通しもっと打ち解けて貰えぬか?」

「同じ女の身? ウソ!! そんな男前な女が居るか!!」

 ゴウは驚きのあまり、飛び起きて言った。

 これでやっと普通に話が出来るぞ。


「配下オオナガも俺を男と今でも思って居る様だが、俺は女だぞ!」

 豪姫は俺をまじまじと見詰め。

「どう見ても男にしか見えぬぞ?」

「乳を見るか? ここなコウガ・ナオも最初は俺を男と思い仕官を申し出た」


「そもそもヨリ様が男前過ぎるのがいけませ!! 忍の私が見誤るほど完璧に外見は男! しかも超男前! 男の中の男!!」

「ナオ? 誉めて居る様だが、ちっとも嬉しく無いぞ!」

「ぷっ…失礼…魔人ヨリと、恐ろしい噂の立つ御仁がこんなお方とは! で、モウリ王様お話とは?」


「豪姫様!! オウテキ様が!! 物凄い好条件の話を……失礼しました!! 魔人様!!」

 飛び込んで来た男が平伏した。


(俺は、そんな恐ろしい顔をしてるか?)


「ヤゾウ! 無作法だぞ! 話は後だ、そこで待ってろ! モウリ王様配下が失礼しました! お話を聞かせて下さい」



「豪姫様! 大変です! 魔人様が乗ってきた巨大船と同じ……失礼しました!!」


「何やら邪魔が入るのぅ!! ジンベエ何を慌てておる? 客人の前を無作法に、如何に我らが海賊とは言え、あまり恥をかかすな!」


「巨大艦モウリ丸と同じ巨大艦がやって来てます!」

「あぁ、それは戦艦伊勢だな、ムラカラ・ゴウ一緒に来るか? モウリ丸に乗船し伊勢を迎えるぞ、話はその後で」

「はい、お供させて頂きます」


 ゴウとヤゾウ、ジンベエ三人モウリ丸に乗船した。

 モウリ丸はオウテキ船長が、既に出航準備終らせ、俺達が乗船すると船は港を離れ、沖に見える戦艦伊勢を目指した。


「ゴウ殿、あの戦艦伊勢は、ムラカラ海賊を討ち滅ぼす目的で、我が妹モウリ・サヨが指揮を取っておる、ゴウ殿に言いたかったのは、能島のしまムラカラ海賊を、ムラカラ水軍として配下に取り立てる話で、ゴウ殿に戦艦伊勢の姉妹艦の艦長になって貰いたい」


「豪姫様、オウテキ様がその話をされて、姫様に報告しようとあの場に飛び込んだ訳で……」

「モウリ王様! 願っても無い話! 是非配下に取り立てて下さい!」

「良かった、トウミツが豪姫の能島ムラカラは優秀な水先案内と言って居った、戦艦ゴウは任せたぞ!」

「えぇ? 戦艦に私の名前付けて良いのですか?」

「良いぞ! ムラカラ水軍に任せる」





 二隻の巨大艦が接近した。

「ヨリ姉様! こんな所でどうされました?」

「サヨ、能島ムラカラ海賊を、ムラカラ水軍と改名配下に取り立てた!!」


「流石ヨリ姉様! 討伐せず海賊を取り込まれた?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る