第2話

自室にカップ麺とお茶のペットボトルを一緒に移動させて学習用机に置いた。畳のその部屋には片付けた隅にある布団とお婆ちゃんが買ってくれた学習用机、洋服箪笥、それに不釣り合いなほどの大型のCDラジカセがある。8ミリCDも聴けるし、外部接続して大きなスピーカーで聴くことも出来る。但し聞いたことあるのは数回程度、建物的に大きな音が出せない。

スピーカーは母さんが仕事場で使わなくなったとか言って持って帰って来たやつのため、本当にでかい。むしろそれで室内が埋まっているような気がする。でも音は凄く低音が響いて心地よい。

クラブで働く母とその子供なんだから音が好きなのは一緒なのかもな。少し悲しい。

他は本はほんと数冊机の上と洋服箪笥の上にある程度で基本的には参考書とかしかない。本が嫌いとかではなく、僕の性格上物を多く置いておくことが好きではないので、基本図書館で借りて返すからないのだ。

デカめのヘッドホンをつけてラジカセに繋ぎ、地方ラジオを聴きながら図書館で借りた本を読むのが好きなのだ。


ただ今日はまだご飯(?)もあるし、今1時だから食べて塾の宿題をやらねばならない。学校の宿題は学校にいるうちに終わらせたが、昨日出た塾の宿題にまで手が回っていないのが現状。

急いで掻き込んでお茶を飲んで、ラジカセの電源だけつけた。

ゴミを捨てに居間に戻ると母親の部屋が扉開いたままでもう寝ているらしく、少しいびきが聞こえる。

33歳の母親ってこんなもんなのだろうか?布団はぐちゃぐちゃだし、洋服は箪笥にいれずに山が出来てるし、クラブ用ドレスだけはしっかりハンガーにかけているし。

でも文句は言えない。言えないと言うより言わない。人より頑張って朝はコンビニバイト、夜はクラブで仕事して、そのあと真っ直ぐコンビニバイトの生活しているんだから。

一人いないくらい、寂しくないし、高校受験しろって頑張ってくれてるんだ。

僕はカラのそれらをしっかり分別してほぼ使っていない台所を後にした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る