第4話 テンプレにはテンプレで
普通なら馬車でも数日かかるはずが……
背中のオーガが腐るのは面倒だと、イオは身体強化を使う。
その日の夕刻には町に到着した。
「おい。」
少年が下ろした魔物の巨大さに、門に詰めていた兵士は声も出せない。
あれ、オーガ、だよな?
でも、色や大きさが?
まさか上位種?
って言うか、オーガを運んできた子供、成人前どころか5、6歳だよな?
えっ?あり得るの?
目の前で見て尚信じられない。
「これ、どこで売れるんだ?」
面倒くさそうに言った少年を、化け物にでも会ったように見つめていると……
「おーっ‼俺が倒したオーガじゃねえか?持ってきてくれたのか、小僧‼」
テンプレ展開、横取りを狙う冒険者が現れる。
普通の人間が持って来られるわけがないことから、完全に論理が破綻している。
恥ずかしくないのかね、いい大人が。
イオはため息をついた。
冒険者らしき男は普通のオーガくらいは大きく、野蛮で薄汚い、筋肉だるまだ。
「失せろ」と言うと、
「何ぃっ‼」と激昂。
「あっ、止めとけ、お前‼」
兵士が止める間もあればこそ、男はイオに掴みかかった。
瞬間‼
ズンッ‼と地響きがして、男が地面に叩きつけられた。
一瞬で回転する風景の意味が、冒険者には理解出来なかった。
伸ばした腕を少年が掴み、そのまま地面に投げ落としたのだ。
それも、受け身をとれないほどの高速で。
息が詰まる。
「ぐふっ‼」と、肺から空気が漏れた。
直後、光り輝く何かを見て、首から血が飛び散った。
少年が水魔法を発動し、その勢いで首を切ったのだ。
「まだ絡むなら、次は殺す。」
太い血管ぎりぎりまで割いたその腕前に、落ち着き払った真っ青な目に怖気づく。
股間を温かく濡らしていた。
「すいません‼今ギルマスと、査定ができる職員を呼んできます‼」
兵士が走って行く。
あんな小僧に最敬礼だ。
情けないと思ったが、今1番情けないのは、この場で失禁している俺だった。
ライセンス、剥奪かもしれない。
一応俺、Bランクなんだけれど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます