第24話 ソフィアは襲撃に遭う
「主人様。一大事でございます!」
「……むにゃむにゃ……。ふぁ?」
窓の外を眺めて見てみるとまだ真っ暗。
真夜中に執事長のウィンが慌てながら部屋に入ってくるくらいだから、緊急を要しているのかもしれない。
「どうしましたか?」
「多勢の者が真夜中に敷地内へ入ろうとしています!」
この屋敷の庭には警備兵もいるが、多勢を相手にできるほどの厳重な体制ではない。
しかも、今日はアーヴァイン様も用事があると言って屋敷内にはいない。
とはいえ、私もウィンさんも特に焦ってはいなかった。
「まともなお客さんではないですよね?」
「武器のようなものを持っていますので間違いはないかと」
「じゃあ、行ってきますね」
「お怪我のないように……」
こちとらケルベロスやオロチを倒した経験がある。
さらに、今後身を守るための防御魔法も色々と覚えた。
もちろん油断はしないけど、簡単にやられることはないと思う。
外へ出ると、すでに敷地内へ侵入されていた。
これって不法侵入だから、やっつけちゃっていいんだよね?
「いたぞ! わざわざ出てきたぞ!!」
「こんな真夜中になにかご用ですか?」
やっつける前に、どうしてこの屋敷に入ってきたのか聞いておきたかった。
見たところ、私は全員はじめましてのお方しかいないし、動機が全くわからないのだ。
「貴様は魔女だと情報が入っている。憎き魔女などがこのような上流区域に住むなどあってはならん!」
「でも、陛下からいただいたものですよ?」
「だまれ野蛮な魔女め! いずれは魔女の血を引く人間全てを王都から排除する!」
「つまり、あなたたちのボスがいるってことですね?」
「…………」
アーヴァイン様からも注意をされていた。
魔女を嫌う一族がいて、今の陛下を指示しない一派がいるから、いずれトラブルになる可能性はあるかもしれないと。
まさか、こんなに早くトラブルが起きるとは思わなかったが。
そして、その親玉が誰なのかも概ね検討はつくんだけど……。
「どうせ貴様はここで消えてもらう。魔導師が全員でかかれば魔女相手だろうが問題はない」
自ら魔導師って名乗っちゃったよ……。
おかげで概ね証拠もつかめてきたけど、この人たち、思ったよりも抜けている。
まぁ陛下の横にいた魔導師も顔に出ていたし、似たもの同士なのかもしれない。
戦闘開始だ。
とはいえ、せっかくもらった屋敷をメチャクチャにされたらたまったものではない。
だが、その心配はすでに対策してあるから大丈夫なはず。
「まずは逃げ場を無くせ! 屋敷と庭を燃やしてしまえ!」
魔導師たちは一斉に炎魔法を放ったが、煙ひとつあがることもなかった。
「な……なぜ燃えない!?」
彼らは状況が理解できていないようで、焦りを隠せずにいた。
陛下との対談をしたあと、アーヴァイン様の指示で屋敷全体を護る保護魔法を発動してある。
オロチのような怪物級が放つようなエネルギーでなければ草花一つ燃えることはないのだ。
もちろん彼らに種明かしはしない。
保護を解除するような魔法を放たれたら困るからだ。
このタイミングでアーヴァイン様たち騎士団が一斉に現れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。