第67話 破壊力
「あら? お早いですね」
ムツキとシャーリーが帰ってきた時間を見て、エレノアが声をかけた。
「ああ。今日は2人でお菓子を作ってお茶をする事にしてね。 材料を買って帰ってきたんだけど、厨房を貸してもらえるかな?」
「へえ。それにしては、随分と仲が良さそうですわね」
エレノアは手を繋いで帰って来た2人を見て。上手く進展してる事を嬉しく思った。
この辺りは、第一夫人の余裕か、嫉妬するほどのことではない。
「案内しますわ。料理人に、2人の邪魔をしない様にも説明しましょう。 でも、シャーリーさん、私もムツキ様の手料理など食べた事がありませんのよ。 羨ましいですわ」
エレノアが、移動中の会話としてそんな話をした。
「では、エレノア様も一緒に作りますか? 3人でお茶会をしましょう」
シャーリーは、ムツキを好いているが、同時にエレノアの事も大切に思っている。
百合と言う意味ではなく、ムツキを支える妻同士として、そして大切な友人として、
なので、3人でのお茶会も凄く楽しそうだと感じた。
「いいえ、今日はシャーリーさんとムツキ様のデートの日だもの。 もしおこぼれを貰えるなら、私の分のお菓子もお茶が終わった後でいいので差し入れて欲しいですわ」
エレノアは、笑顔で2人で楽しむ事を勧めてきた。
「ほら、着きましたわ」
そうこうしているうちに、厨房へ辿り着き、エレノアは料理人達に事情を説明して、しばらくの間、厨房を貸切にしてくれた。
2時間ほどすれば、夕食の準備をしなければいけないのでと言う事だが、それ位時間があれば十分であろう。
ムツキは、料理人に鍋やフライパンなどの場所を聞いていると、シャーリーが着替えをして戻って来た。
ムツキは、そのシャーリーの姿を見て言葉を失った。
「あの、ムツキ様、何かおかしかったでしょうか?」
「いや、凄く似合ってる」
服が汚れるからと、ムツキはシャーリーに即席で作ったエプロンを渡していた。
ムツキはこれまで、学生時代の調理実習や、大学時代に友人が見ていた雑誌などでエプロン姿をいいと思ったことなど無かったが、シャーリーのエプロン姿は、見惚れてしまうほどの破壊力があった。
別に、シャーリーは、胸が大きい訳でもなく、露出している訳でもないので、グラビア的な要素は無いのだが、その姿はムツキのハートを鷲掴みにした。
「そ、それじゃあお菓子作りを始めようか」
ムツキは鼻の下が伸びるのを必死に抑えつつ、シャーリーとのお菓子作りを開始するのであった。
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