一匹狼を被る

「なんでだよ」

僕は

腹が立っていた


真っ直ぐ伸びた

長い飛行機雲

悪化の兆候

余計自棄になった


点滅する信号

闇雲にペダルを踏みつけて

左右見て飛び出す

轢かれてもいいと思った



僕は

大嫌いだった


暗い顔して

下を向いて

友達とすれ違っても

なんにも言わない


大好きな君とも

上手く喋らない

いつも側に居てくれるのに

冷たいままで


なんでそんなに冷淡なの

なんで冷淡なフリしてんの

ほんとに

大嫌い



自分なんか

大嫌いだ



日常の廊下

何も言わなかった

たった一瞬の時なのに

ずっと後悔に駆られる

ずっと ずっと


なんでこんなに

下手なんだろう

人と喋るのが

話しかけるのが

笑顔でいるのが


せめて隣の人にくらい

いつもの仲間にくらい

挨拶すればいいのに


せめて人前では

君の前では

笑顔でいればいいのに


馬鹿だね

寂しがりのくせして

「独りで居たい」なんて

自分から孤立してさ


勝手に病んで

って それもどうせ

ほんとは病んでない

そんなフリだろ


僕が大嫌いで

大嫌いで

それでいっぱいで

何も考えられない

もうどうでもいい


ああ でも

気にしないで

僕は「大丈夫」

どうせ自作自演の

ただの悲劇のヒロインだから

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