第8話 狩り

 2週間ほどが経過した。


「エミリア、背後からハインドイーグルが来るぞ!」


「はい! うりゃあああぁぁっ!!!」


 ドカッ!!

 エミリアの剣はハインドイーグルを捉えた。

 奴は木に叩きつけられて絶命する。


「よし! ナイスヒットだ!」


「えへへ。やりました!」


「……しかし、剣の横っ腹で殴る作戦がこうもうまくいくとはな」


「はい! こっちの方が当たりやすいですね。カイルさんのアドバイスのおかげで、私も戦えるようになりました!」


「おう。ま、普通なら剣に変な負荷がかかるからやらないんだが……。この頑強な剣なら大丈夫だろうと思ってな」


「そうですね。自慢の剣です!」


 Eランク冒険者には明らかに不釣り合いな剣。

 それを何故エミリアが持っているのか気になるところだが、聞いてもはぐらかされてしまった。


「エミリアの『怪力』もスキルレベルが上がったんだったか?」


「はい。と言っても、カイルさんのようにいろんなことはできませんけど。私の場合は、少しだけ出力が上がったみたいです。できれば制御力の方が上がってほしかったんですけど……」


「ままならないものだな」


「でも、カイルさんのアドバイスのおかげで戦えるようにはなりましたし、ここからですよ。それに、カイルさんもまたスキルレベルが上がったのでしたか?」


「ああ。『ハキ』がスキルレベル5になった。また新しい能力を得たのだが……」


「そうなんですか? でも、戦闘は今まで通りだったような……」


「移動系の能力なんだ。今は森の中にいるから使えないんだが」


「へえ……。気になりますね。早く見たいです」


「まだ練習中でね。後でまた見せるよ。それよりも、今日はこの辺りにしておこう」


「え? まだ日は高いですが……」


「そろそろ狩り場を変えようと思ってるんだ。トレントの数も減ってきて、俺たちにとって旨味が少なくなってきたからな。次の狩り場候補の情報収集をしたい」


「なるほど! いろいろ考えてくださっているのですね。私はカイルさんに付いていきます!」


 こうして、俺はエミリアと共に冒険者ギルドに向かい始めたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る