第13話 暗闇に閉じ籠ってから 8

私の声が響く

闇の中にある黒い湖が揺らいでいる

暗い湖の中にあの人の姿が映る


どうかあの人に届いて

私の声を届けて

私の思いを伝えて

私はここにいると伝えてあげて


あなたしかいないの

私にはもうあなただけなの

私の闇に触れられるのはあなただけなの

私をここから解放できるのはあなただけなの

私を殺せるのはあなただけなの


私を傍において

私を殺すためにあなたの近くにいさせて

あなたなら叶えてくれるよね?

この気持ちが分かるよね?


何処にいるの?

私は黒い湖の中にいる

あなたが迎えに来るのを待っている

あなたが来てくれることを信じている


黒に染まっている湖

その周りに漂っている赤い光

私たちが殺した人たちの魂

私の最後の居場所


私を殺して下さい

私の魂を黒い湖に沈めて

ここに留まらせて


あなたならそれができるでしょう?

私を殺してくれるでしょう?


私を救ってくれるよね?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る