第8話 暗闇に閉じ籠ってから 1&2

耳が痛くなるほどの静けさ

微かに漂う血の匂い

引き裂かれた鳥の残骸

血まみれになっている本当の自分


私は歩みより手を触れようとする

でも 弾かれてしまう

周りを全て拒否しているのね

一定のものしか受け入れてくれない


何も足さない

何も増やさない

新しいものを持とうとしない


でも 本当の私はそれで幸せなんだね



***



私の持ち物は燃やされたわ

あなたと撮った写真

あなたに貰った物

今までの思い出の品はすべて灰になってしまった


だって もう必要ないでしょう?

私はいなくなるのだから

あなたの目の前から消えるのだから


もう ここには居られない

私は作られしものだから

ただ 生きている者だから


だから すべて土に還しましょう

海へと流しましょう

空へと落としましょう


彩られた物はいらない

美しいものはいらない

私にはもう何もいらない

欲しいのは暗闇だけ


ごめんね

私はもう外へ出たくないの

身体も心も壊れてしまうから

強くなんかなれない


私はただ一つのコマ

命令のみに動く人形

自分の意志は持たない


それなのに なんで感情まで持たされたのかな?

感情なんてものがあるからいけないんだ

こんなものがなければ私は苦しまずに済んだ


そう・・・・・・何も知らずにいられた


さようなら

私はもう居られない

私はそろそろ帰らなきゃ

私が生まれた場所に


あの 何もない暗闇に・・・・・・

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