劉毅6 尋陽に守りを
「そも官を設け職掌を分けるにあたり、軍権を別とするのは、民を養うためには労務を減らすことが良く、軍事は問題解決こそを最優先事項とするためにございます。この両職が同時に与えられるのは、あくまで仮りそめのことであるはずが、現在はこうした人事が為されて久しくなり、さもこれが当たり前のことであるかのようになっております。
江州とはこの大晋の腹部とでも言うべき位置づけ。
そうした中、この江州にさしたる外敵もおらぬにもかかわらず、軍府には文武將佐が待機し、日々軍資を食い潰すありさま。このどこにお国を経営し、燃え上がる火に水を掛け消し止めよう、とした志を見出すことができましょうか!
長江に接している同州各郡において、人々がほうぼうに逃げ落ちたせいで関所は無駄に堅く閉ざされるようになり、風や波すら通すまいぞと汲々としております。このせいで物資輸送も大いに滞り、援助を求めているものにもたらすはずの物資がまともに行き渡らぬ原因となっております。
ならば今は当地の州府を解散し、その鎮所を
また、江州に属する諸県には離散が発生しております。こうした県の所属先を明らかにしておかねば、様々な労役についても中断をせざるを得なくなりましょう。ここを思えば、諸県を合併し、各県にかかる諸経費も軽くせねばなりますまい。
江州刺史の
刺史の庾悅は、着任してより以来、とても民を憐れみ大切にしてきましたが、政治を改革しないので、細部に手が届いていません。
尋陽は山越のすみかにも接しております。ならばこの地に兵力があるぞ、と示すべく、州府の兵千人を配置して
夫設官分職,軍國殊用,牧養以息務為大,武略以濟事為先。兼而領之,蓋出於權事,因藉既久,遂似常體。江州在腹心之內,憑接揚豫,籓屏所倚,實為重復。昔胡寇縱逸。朔馬臨江,抗禦之宜,蓋權爾耳。今江左區區,戶不盈數十萬,地不逾數千里,而統旅鱗次,未獲減息,大而言之,足為國恥。況乃地在無虞,而猶置軍府文武將佐,資費非要,豈所謂經國大情,揚湯去火者哉!自州郡邊江,百姓遼落,加郵亭險閡,畏阻風波,轉輸往復,恆有淹廢,又非所謂因其所利以濟其弊者也,愚謂宜解軍府,移鎮豫章,處十郡之中,厲簡惠之政,比及數年,可有生氣。且屬縣凋散,示有所存,而役調送迎不得止息,亦謂應隨宜併合以簡眾費。刺史庾悅,自臨蒞以來,甚有恤隱之誠,但綱維不革,自非綱目所理。尋陽接蠻,宜示有遏防,可即州府千兵以助郡戍。
(晋書85-5)
うーん話が飛んでる、飛んでますよ。尋陽は
劉毅の訴えている内容は、たぶんそのとおりなんでしょう。こうしたあたり、どのくらい現地が荒れてたのかな。宋書列伝も志も、こうしたあたりにほんに関心払わないんですよね。あくまで正統性の裏打ちのほうに興味がある感じで、わからん&わからん。
ひぽ太郎様が公開して下さった宋書地理志における戸数分布
https://x.com/jl6kmgqnkesxvly/status/1699981696161272082
を見ても、この頃の東晋政府が中央集権的に現地の政情をまともに把握できていたとは到底思えません。地方統治の話が全然なくて中央の話に終止するのには、まぁそういう変数も見出すべきなのかなーと言う気もしています。ほんに劉宋の立ち上げまわりって、マジでなんもわからん……。
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