第58話 隠す
思い通りの展開ではなくても、予想外なのに喜べる状況というのはある。
基本が低いスタートなのでゴールにがっかりするようなことは少ないのだが、私の選んだ低さを嘲笑うようなレースに参加させられる時は自分の甘さを痛感する。
もっと下って私に対してあり得るのに、設定する位置を高くしてたんだと後で気づくと、悩みの中に邪魔なものが混じってくる。
ひとりで連想ゲームを楽しんでいるような頭になってしまうと気づけないことが生まれてしまうから、そうならないようにしていたのだけれど……。
お互いに声を出すことなく彼女は作業に集中しているし、私は彼女の観察をしているので口を開こうと思いもしなかった。今は、自分の思考が染み込むような自然さで彼女の観察をしていながら、内側を見てもいる。
彼女は、私を見ることもないが……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます