第11話 ガーディアン その3(守護霊様にウケたようです )
辺りが急に騒がしくなった。
なんだかアナウンスが混線しているというか、数人が一斉に喋っている感じなのだ。
以前脳トレでやった『聖徳太子トレーニング』を思い出す。しかし全く生かせず……。
中でもハッキリと喋っている声があるのだが、むろん何を言ってるのかわからない。
ただこの声が自分に向けて発せられている事だけは分かった。
こ、これは返事に違いない。ということは相手は――
しかし雑音が酷くて本当に言葉の断片しか聞き取れない。
なんなんだ、この雑音。
ふと見回すと、いつの間にか後ろの棚が部屋の中央よりにあって、何故か一番上段に大きなラジカセが載り、そこから大音量で音声が流れ出ていた。
「ちょっとすいません」
『 うん? なんだ 』 これは一瞬だがハッキリ聞こえた。
ちょっと不思議なのはラジカセに気がついてから、始めより声を聴き分けることが出来るようになった。
しかし五月蠅いのである。
私は一応断りを入れて、棚の裏側――ラジカセの表側に回った。見上げると明らかにラジオ放送のようなトークが大音量でスピーカーから出ている。
なんだ、この大事な時にこんなのが。
『 ああ それか 』
再びラジオとは別に声がする。
大抵なところ夢では少しのあいだ目を逸らしたり、別の行動を取ると、今まで見ていたモノや場所がクルッと変わってしまうことが多い。
それは波間に漂うように、固定されていない意識の中でのことだからだ。
なので夢はコロコロと瞬時に変わりやすい。
しかしこの時はちゃんと繋がりを保ったままだった。
一発でスイッチが切れずにちょっとモタついてしまったが、お待ち頂いたようだ。
この雑音は何だったんだろう。
もしや霊感チャンネルを合わせるのに、支障をきたす私自身の雑念か何かなのか?
あと、○○さんが急に部屋を出て行ったのは、守護神様たちがやって来たから場を外したのかもしれない、と後から思ったりした。
とにかくあらためてと、また元いた側――そちらの上にいると思っていたので――棚の前側に戻ろうとして
「お待たせしぃ――どわっ!」
足元の布団に
部屋の中はいつの間にかガランと余計な家具が無くなり、棚だけを残して窓もない白い部屋に変化していたのに、布団は残っていた。何故にこれは消えん?
『 アー ハッハッハッ! 』
『 やっぱり面白い奴だ 』
『 ハハハ 』
え? ウケてます??
いや、それよりも御声がみんな違うような……。複数いらっしゃる?
しかし相変わらず姿は見えない。元々全体が白い壁紙が張られた壁と天井だけである。7話で話した梁もない。
「すいません、守護霊様。
もう知ってらっしゃるかと思いますが、エッセイで貴方様のことを書いてもいいでしょうか?」
いらっしゃると思われる方向に手を合わせて訊いてみた。
『 うん、書いていいよ 』
すんなりOK頂いた。
というか、なんとも気さくな雰囲気の方達だった。
あのつのだじろう先生の重々しい体験マンガは何だったのか。
いやいや、あれはアレ。状況と人によってそりゃあ対応も違うだろう。
何しろあれは先生が始めから喧嘩腰だったのだから。
前回ではつい親子喧嘩を引き合いに出したが、さすがに守護霊様をやられるクラスの人格者。
叱る意味だけであのような実力行使をするなんて、流石にあり得ない気がしてきた。
おそらくオカルト研究家として、先生自身に体験させる意味合いが強かったのかもしれない。つまりネタを提供してくれたという事ですね。
そうしてこちらも、私が妙に心配しているから安心させるために直接交信してくれたのだと思う。
確かに自分の守護霊様にビクビクしていたら、本末転倒である。
どうもお世話になります。そしてネタも有難うございます。
―― そういえばあのマンガでも複数いらしたな。
「あの……、守護霊様って何人いらっしゃるんですか?」
『 ◎人 』 即答。
守護霊様はマンツーマンじゃなく、複数いるという噂は本当だったのか!
そういやネット情報によると、守護霊様チームは大きく 『 主護・支配・指導・補助 』の四つに分けられるらしい。
このうちの主護霊様というのは字のごとくチームのリーダー格なのだそうだ。
おそらくこの一番話をしている方がそうなんじゃないのかと思う。
と、ここで大事なところまで聞いたら別の夢に流れてしまった。
う~ん、せっかくのチャンスが、ちょっと惜しくもあるが仕方ない。
こうして初めての守護霊様との謁見(コックリさんやプロの方を通してのコンタクトを除いて)は予想外な和やかさだった。
考えてみたら、守護もとい人生の教育・指導もやられるのだから、一番の理解者な人がつくわけだ。
これはもう次元が違い過ぎるが、自分の上位互換といったところなのだろうか。
ちょっと自分で何言ってるか分からなくなって来た。
というわけで皆さ~ん、ご自分の守護霊様は恐くありませんよぉ(●^▽^)/
(いや、怖がらせてたのお前や!)
ところでこの時の私の守護霊様たちは、まず男の方たちだと思った。
主護霊様の声はトーンは明るいがテノールではないなという印象だった。
ちなみに第1話に出て来られた、お経を唱えてくれた方ともまったく違う。
声だけの年齢はもっと若い感じだった。壮年といったところか?
それで何というか、線は細くない感じ? ガテン(体力)系、じゃなくて山伏さんとかのイメージか?
もう私の頭の中には、ある髭のタレントさんの顔がつい浮かんでしまったが、改めてその人の声を聞くとまた違う気もする。
むむ~ん、勝手にイメージ膨らませてすいません。
俗物なもので、すぐ外見やら声やら表面ごとに囚われやすい者であります。
御姿は見られなかったが、それはそれでシークレットがいいのかもしれない。
もし拝見したらイメージと違うと思ってしまう、なんて意味ではなく、やはりそういう身近過ぎる方だからこそ御姿を出さないのかもしれないのだ。
あまり偶像みたいな固定観念を持つのも良くないだろうから、外見なんぞの余計な事は今は知らなくていいのである。
でもちゃんと守られている実感を得る事が出来たおかげで、仏間でまた寝る事が出るようになりました。本当にお陰様です!
話が少しズレるが、前の回でも話したとおり、せっかく仏間のライトも変えたのだしから使わないのは勿体ない。
と言ってもまさか物置にする訳にもいかないので、やはり寝室が最適かと思われる。
居間代わりに使うという手もあるのだが、どうにもご先祖様の目の前で見るのはちょっと落ち着かないコンテンツなぞがちょいちょいあるので、PC作業などはちょっと遠慮したいのである。
前にも寝ながら読書したいが目が疲れていたので、タブレットでアマゾン・オーディブルを流したことがある。(本を朗読してくれるサービスですね。ちなみに作品にもよりますが、名探偵ポアロがドラマと同じ声優さんですごくしっくり来たのもあります)
その時、短編ということで選んでしまったのが、谷崎潤一郎氏の『 刺青 』
教科書以来、ほとんど純文学や芸術作品と呼ばれるものを読んでいないし、まあ粗筋を読む限り面白そうだなとただ単純に選んだのだが……。
音声で聴くと生々しいっ! 聴いてる場所が場所だし……。
何と言いますか……、ちょっと親子で映画を見ている時、Hシーンが意外と長く続いてしまった時の気まずさというか……。
いや、この作品はそういうもんだから! 最初っから場所と作品を選び間違えたんだよっ!
という訳でこういうのは居間だ、居間で聴け!
話を戻すと、姿を見せない守護霊様たちとは逆に、守護神様かと思われる方は一言も喋らず、御姿だけ見せて頂いたことがある。(あくまで夢でだが)
あの時見た御光の揺らめきはとても神秘的で美しかった。あれは当時の映像描写では表せないモノだったと思う。(現在ならCGで上っ面だけ視覚的に似せたモノを作ることは可能かもしれないが)
有難うございます。凄い参考になりました。
拙作の天使のオーラの描写に使わせていただきました! (ちなみにカクヨム版ではまだ使ってません)
実を言えば第9話(その1)で、起きている時に頭に乗られて来るのはこちらの方のようである。
頭頂部からスルスルと左肩の方に降りて来られるのがルーティンだ。
この方の御姿が人型じゃないせいもあるかもしれない。
そしてまたもや失礼なことに、私はこの方のことも色々と誤解していた。
放っておくと鈍い青田のこと、おそらく一生気がつかないだろうと思われたのか、今年の夏、ウん十年ぶりに再び夢にやって来られたのだ。
その時の夢が指し示した事柄で、この長年の間違いにやっと気がついたというわけである。
またそれがキッカケで、ガーディアン様たちの事を書く気になったのだが。
いや、しかし我ながら凄いな。高校の頃から今までずっと勘違いしてたよ……。
……すいません。もう皆さま苦笑だらけかもしれない……💧
不敬にならなければ、守護神様のことも今度書かせていただきたいと思いつつ、今回はこの辺で。
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