第149話 最後の神魔獣の行方

 今現在、俺たちには頭を悩ませている事が一つある。


 それは、


 ”最後の神魔獣がどこにいるのか”


という事だ。


 サマーニャ様から居場所を聞いたのはそれなりに前にはなるが、その時にはかなり遠くに居たようだ。

 しかし、現在は休眠中であり、居場所はまったくわからない。


 できれば、休眠しているところを叩きたい。

 それが一番安全であるからだ。


 正々堂々となどと言う余裕は無い。

 

 おふくろは言っていた。

 あの、トラの神魔獣ですら、おふくろ達が倒した魔王を超えている、と。


 ならば、最低でもそれくらいにはなってくる筈だ。


 いや、サマーニャ様の話の通りであれば、魔王の残滓や汚れた魔力が集中して集まっている【竜】はトラを超える力を持っているだろう。


 俺は、犠牲を出したくない。


 俺は今のディアが好きなのだ。


 みんなの笑顔が輝いているディアが。


 そのためならば、例え卑怯だと言われようとも、誹りを受けようとも、犠牲を出さずに討伐を終えたい。


 しかい、それは難しいだろう。

 

 敵は強大だ。

 それに、どんな進化をしているのかも、敵の強さもはっきりとはわからない。


 あらかじめ戦闘計画を立てることも難しい。


 結局のところ、今までと同じように、出たとこ勝負をするしかないのだ。

 

 そして、勝率を少しでも上げる為に、俺たちは訓練をし、もっと強くならねばならない。






「おおおおおぉぉぉっ!!」

「うらぁぁぁぁぁぁっ!!」


 拳と拳の衝突で衝撃波が飛び散る。

 

 俺と親父の模擬戦だ。


 親父は、これまで以上に真剣に模擬戦をするようになった。


『こっちに戻って来て、レンベルト、ヴィクトリア、ルールーの奴が強くなっていやがったからな。俺も一から鍛え直しだ。仲間だからこそ、負けらんねぇのさ。』


 これは、俺にだけにこっそりと教えてくれた理由だ。


 親父達がいなかった300年で、親父とおふくろを除く大魔法師の仲間は強くなっていた。


 親父は、今一度自分を見つめ直し、鍛え直しているようだ。


 特にそれに付き合っているのが、俺とキョウカだ。

 

 キョウカは、鬼組手がかなり習熟して来ており、その技法を上手く戦斧術に組入れている。

 おかげで、ただでさえ【鬼神の血】を使いこなして強くなっているのに、キョウカはさらに実力を伸ばしている。

 

 そう言えば、先日ステータスを改めて確認してみたら、驚いた。


 キョウカの種族が【鬼神】となっていたのだ。

 そして、それは親父も同様だった。


 リーリエの話では、おそらく、完全に使いこなせるようになったのが原因だろうとの事。


 同じように、チユリも【妖狐】となっており、

 現在出せる尾は7本まで来ている。


 そして、俺もステータスを確認してみて驚いた。

 俺も新たな力を得ていたのだ。


 その変化は正直、嬉しいような悲しいような・・・今じゃない!!そう言いたいものだが。


 俺のステータスにあるスキル。


【絶える事無い倫】 


 という例のスキルが成長していたのだ。


 そこから派生したのは、


【体液変化(淫)】


 というスキル。


 もう、名前からしてため息が出る。


 リーリエに仕方がなく効果を聞いてみた。


『え〜っと・・・!?そ、その、このスキルは忍さんの、その・・・唾液や汗、それと・・・色んな液が相手の感度を上げる媚薬となるようです・・・こ、これは危険かもしれません!ですからここはひとまず、私が身体を張りましょう!!大事な大事な仲間で試すわけにはいきませんから!ええ!いきませんとも!!と、いうわけで今夜・・・♡』


 という、欲望ダダ漏れの回答が返って来て、さらに肩を落とす羽目になったのだ。

 いったい、何がスキルを成長させるきっかけなったのか・・・できれば、戦闘系のスキルが欲しかった・・・


 まぁ、リーリエは見たことがないくらいに乱れに乱れて、大満足していたようだったが・・・まぁ、それは良い。

 いや、ホントなんでこんなスキルが?


 そんな俺を嘲笑うかのようにステータスに鎮座する称号が、その疑問の答えを明らかにしていた。


技巧なる者テクニシャンにして内廷ハレムの王】


 という称号がそれだ。


 最初は意味がわからなかった。

 

 詳しくリーリエに調べて貰い、その結果に額に手をあて空を仰いだ。


 どうも、複数の女性と同時に行為をする場合に、体力、精力、そして先のスキル【体液変化(淫)】の効果の上昇との事。


 ・・・これも、【三上の血筋】に変化した事で得た特殊ステータスのようだ。


 ご先祖様、いったいあなたはどうやってこんな特殊技能を得るに至ったんだ?

 いや、そもそもどうやって継承しているんだ?


 謎だ。


 これではまるで、複数でするのが当たり前のようではないか。


 そんな事普通はありえんと思うのだが・・・


 もっとも、俺には言う資格は無いかもしれんがな。


 あれからすでに、二人同時というには何回も経験している。


 レイリーとリュリュ

 イオとルールー

 

等だな。

 いや、それだけじゃないか。


 イオはその辺、まったく気にせず突っ込んで来るので、三人という事もあった。

 まぁ、ヴィヴィアンとキョウカはまだしていないが・・・前に言ったとおり強制するつもりは無い。


 というかだな、みんな順応が早すぎないか?

 俺がおかしいのか?


 もうすでに、ヴィヴィアンとキョウカを除いて複数でする照れが無い気がする。


 俺は1対1で愛し合うのも良いと思うんだがな・・・






 っと、話が変わってしまったな。


 結局、亀の時と同じように、周囲の警戒と合わせて迎え撃つ形になりそうだ。

 ただし、範囲は広げて。


 これには、ヴィヴィアンが召喚する召喚獣がかなり有用だ。

 空を飛べる召喚獣や、足の早い召喚獣を使役し、広範囲の警戒が可能になったのだ。


 桜咲師匠にたくさん契約させて貰っていたのが、功を奏した形となっている。


 

 

 できれば、ディアには被害が及ばないところで迎え撃ちたい。


 おふくろが帰ってくるのが先か、それとも奴が仕掛けてくるのが先か・・・

 

 いずれにせよ、今よりも更に強くならねば。


 




 だから、休みの日を作らないか?

 毎晩だと疲れがとれないだろ?

 主に俺が。

 

 ・・・駄目か?


 そうか・・・

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