閑話 忍争奪戦の裏で sideリーリエ

 今、みんなにもみくちゃにされて、忍さんが意識を失いました。

 私は、みんなに怒っています!


「やりすぎですよ!!」


 それも当然です。

 なにせ、元々の予定では、酔ってしまった忍さんを介抱し、部屋まで二人で抜ける程度であったのですから。


「だけどさぁ、仕方がないぜ?だってアタイらだってシノブといい感じになりたいじゃないか。」

「そーそー。ま、リーリエが一番最初ってのは守ってるんだからさ?で、どう?うまくいきそう?」


 比較的酔っていないキョウカと、酔いはかなり回っているものの、まだ頭が回っているレイリーがそう言いました。


 ふっふっふ!

 勿論、抜かりはありません!!


「当然です。今日の感じであれば、今晩には決着が着くでしょう。」

「・・・本当に、うまく行くのでしょうか?この計画を持ちかけられた時、了承は致しましたが・・・」


 私の言葉に、ヴィヴィアンが心配そうにそう言いました。

 まぁ、確かにそう思われるのも仕方がありません。

 ですが、私は何度も今回の計画をシュミレートしていました。


 忍さんがどう考えるか、どう行動するか、何が最善か、を。


 99パーセントは上手く行くでしょう。

 残りの1パーセントは、不足の事態が発生した場合です。

 不足の事態は、例えば天災が起こる、とか、共に同じ部屋で休めない、とかでしょうか。


「安心して下さい。しっかりと止めを刺して来ますから。」


 いえ、この場合、挿されるのは私でしょうか?って、私ったらはしたない!!


「ここまで来たら、リーリエを信じるしかないの。」

「そうですねぇ・・・シノブさん、ボクたちも受け入れてくれるでしょうか・・・?」

「そうだよねぇ・・・リーちゃんはまず大丈夫だろうけど、ウチ達もいけるかなぁ?」


 ルールーとチユリ、リュリュがそう不安そうに言いました。

 

 心配になるのも仕方がありません。

 ですが、忍さんは口には出しませんが、きっとみんなへの気持ちも心に宿していますよ。


 ずっと見てきた私が言うのですから、間違いありません。

 

 ですから、正直そこに心配は無いでしょう。


 その為にも、


「きっと大丈夫です。」


 今日までの一週間を思い返します。


 私の計画。

 それは、まず、一週間かけて、忍さんが憎からず思っているみんなと一緒の部屋で就寝を共にしてもらい、忍さんの性欲を掻き立てる。

 そして、限界まで高まった所で、私の番。


 こう言ってはなんですが、私は忍さんに今でも愛されていると胸を張って言えます。

 ですから、隙を見せれば、忍さんは私に手を出してくれるでしょう。


 獣のように私を襲う忍さん・・・正直、よだれが出る位魅力的ですが、それではいけません。

 もしそうなった場合、私への罪悪感で忍さんは私のみを選んでしまうかもしれません。


 なので、まずはリラックスして頂き、頭をすっきりとさせてあげるのです。


 そうする事で、頭ははっきりと、ですが、身体の中には性欲による熱が籠もった状態になる筈です。


 そこで、私は身体よりも先に、心で結ばれるようにします。


 これは、私が忍さんへの狂おしい程の愛情を伝え、告白しても良いのですが、男らしい忍さんは、おそらくそれを良しとしないでしょう。

 私が気持ちを伝えようとした時、おそらく遮られると思います。

 

 まぁ、それはどちらに転んでも良いです。


 ・・・いえ、本当は、忍さんから気持ちを伝えられたら、より嬉しいのですけれど。

 やっぱり、恋する乙女としては、想いは伝えられたいじゃないですか!


 で、その時ですが、きっと忍さんは、みんなへの気持ちも私に伝える筈です。

 向こうの価値観では不誠実ですからね。 


 ですから、私はそれを了承していると伝えるのです。

 それも、サマーニャ様からの願いである事も告げて、免罪符も与えるのです。


 そして、心が繋がり気持ちを一つにした私と忍さんは、身体も一つに・・・


 きゃーーーーーっ!!


「・・・り、リーリエ?あんたなんで顔を両手で隠して、首を何度も降ってるんだい?」

「どうせいやらしい事考えて、いやんいやんって感じなんでしょ?」


 キョウカ、レイリー、うるさいです。


 まぁ、当たっているのですが。


 だって、夢にまで見た忍さんとの一夜なのですよ!?

 仕方がないと思いませんか!?




 ・・・正直、こんなに計算付くで忍さんと一緒になるのに抵抗が無い訳ではないのですが、それでも、みんなの事も忍さんに罪悪感無く認めてもらうには、こうする他無いと思っています。


 損な役回りだと思いますが、それでもこうして忍さんと一緒になれるのであれば、甘んじて受けようと思います。


 全ては、自分とみんなと忍さんのため。


 きっと忍さんは私達の期待に答えてくれるでしょう。




 さて、忍さんを部屋まで運びましょうかね。 

 みんなには宴会の監督をお願いしておきましょう。


 そして、明日の朝には・・・きっとみんなの期待通りになるでしょう。

 いえ、してみせる!


 私の大事な新しい家族の為に!!

 みんなで幸せになる為に!!!

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