閑話 焦るサマーニャ

 ちょっとちょっとどういう事なのよ!?

 

 私は混乱の最中にいた。

 はじまりは、百合のいる新たに創造神様から任された、お馬鹿な後輩がやらかした世界の様子を見に行った事からはじまったの。


 私は、自分の世界の管理をある程度終え、少しの間であれば私が認定している補助者に任せられるようにした後、ようやく出来た時間を使って様子を見に行ったのよ。


 そしたら、着いて早々、血相を変えた百合が、


「サマーニャ様!教えて下さい!あのですね!!」


 っていきなり詰め寄って来て、私が送った九十九忍・・・あの子が、この世界の大魔法師と伝説の鬼の子孫だとか、大魔法師が時空間魔法を使ったとかまくし立てて来たのよ!


 大魔法師って何!?

 初めて聞くジョブなんだけど!?

 意味分かんないんだけど!!??


 で、とりあえず調べて見たわけね。


 最初はあの子のステータスを確認したわ。

 まぁ、百合の望みの件もあるし、気になってたからね。

 百合はとてもいい子だもの。


 もし可能なら、本当は私の眷属として、私を支えて欲しかった位に。


 最初は【覚醒】と【解放】の二つを見つけてにんまりしたわ。

 だって、そのスキルは私が百合に教示した3つのスキルのうちの二つだったからね。


 よしよし!

 半年で二つなんて優秀じゃない!!

 私の目に狂いは無かったわ!


 なんて思ってた。

 でも、すぐに違和感にも気がついた。


 なんであの子あんなに戦闘系スキルが育ってるの!?


 私が頼んだのはあの世界の存続のための開拓よね!?


 いくら食料調達の為に戦闘スキルがいるからって、普通そんなに早く育たないわよね!?

 例え成長を促進する称号を持っていたとしてもさぁ!

 バグってない!?


 下手したら勇者よりも成長早いじゃないの!

 どれだけ修羅場くぐってるわけ!?

 え?この世界ってそんな危険な世界だったかしら?

 

 てゆーか私、あの子に【頑強】とか【状態異常耐性】とか、【言語理解】とか戦闘にはそこまで向かないスキルしかあげてなかったわよね?

  

 それなのに、なんか種族の最上位固有スキルまで入手してるしさぁ?

 驚いて二度見しちゃったわよ!!


 でも、それから考えると、確かに百合が言うように人間と鬼のハーフではあるのよね。

 鬼族の血を引いて無いと、入手出来ないスキルみたいだし。

 まぁ、隔世遺伝の可能性もありえるけど・・・私の世界には鬼、いないのよねぇ・・・

 だから、私の世界の生物の血じゃない親を持つのは間違いない。

 少なくとも父親と母親のどちらかは、ね。


 あの子を見つけたのは、あの子が成人した後だったから、親は亡くなっているくらいにしか知らなかったし、調べなかったのよねぇ。


 というわけであの子の遺伝情報から調べて見ると、確かにあの子は人間と鬼のハーフなのよ。


 だから、次は魂の情報から親をたどると、九十九岩男・・・この世界ではガンダン・ツクモって鬼と、九十九玲奈との子ってなってたのよね。

 

 どうして、この世界の鬼と他の世界の人間が子供を作っているのかも調べないとと思って、この世界のログを確認してみる。


 あ、この玲奈って子、次元穴に巻き込まれてこの世界に来た天然の勇者なのね。

 なんで大魔法師って名乗ってるのかわかんないけど・・・ってはぁ!?

 

 来た直後から、遭遇した魔物をめっちゃ魔法で蹴散らしているんだけど!?

 なんで教わる前から魔法を使えるのよ!!


 むっ・・・あの魔法・・・確かに時空間魔法ね。

 

 ・・・ってことは、私の世界からの転移者では無いって事か。

  

 あんな希少魔法を使いこなすレベルの人間なんて、そんじょそこらの世界にはいない筈なんだけど・・・そもそも、かなり長い年月をかけた世界でしか派生しない魔法だし。

 まぁ、例外はあるけど・・・あれは例外中の例外だし・・・


 玲奈って子の実物の魂か、玲奈って子がいた世界に行けばもっと辿れるんだけど・・・ここじゃこれが限界か。

 そもそもどこの世界に居たのかわかんないし。


 ・・・先にこの子と鬼が、どうして、いや、どうやって私の世界に来たのか、ね。


 どれどれ・・・


 ・・・うわっ、この子また次元穴に巻き込まれてる・・・なんて運の悪い・・・って、そうでもないか。

 見る限り、あの馬鹿な後輩おバカが、ボロボロにしたこの子達を甚振いたぶろうとしているところで巻き込まれてるし、逆に運が良いのかも。

 

 現に、その後は私の世界に来て、怪我を治し、その後は結婚して子供まで作ってるみたいだしさ。


 ん?

 ・・・変ね。


 たしかに、これほどの力を持つ二人が、たかだか崖崩れに巻き込まれたくらいで死ぬわけが無い。

 最悪でも、どちらかが生き残る筈。


 ・・・こ、これはきちんと調べないといけないかも。

 

 なんか嫌な予感がするし!

 すっごい見落としをしてる気がする!!


 ・・・ちょっと同期のあの娘にも手伝ってもらうか、意見を聞こうかしら。


 向こうも管理している世界が軌道に乗って、落ち着いて時間が出来たから、久々にお茶会したいとか連絡して来てたし。


 騒がしい娘だから、後回しにしてたのよね。

 二つの世界を管理する事になって色々忙しかったから。


 ・・・にしても、嫌な予感が消えないわ。


 こ、こうしちゃいられない!


「ちょ、ちょっと戻って調べて来るわね!!じゃ、また!」


 私は急いで自分の管理する世界に戻る。

 まずは、あの子の両親をきちんと調べて見ましょう。


 あ、その前に同期に連絡しましょ。


「良いわよ、近日中に来て・・・っと。」


 さぁ、調べるわよ!


******************

これで本章も終わりです。

まもなく核心・・・となるか!?


新章は年明けからです。


という事で、今年一年ありがとうございました。

良いお年を!


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