第4話大切なあなたへの手紙
「今夜も始まりました、ハヅルの深夜ラヂオ。DJハヅルがお送りする、最初のナンバーは、山本正之で『タイムボカン』どうぞ」
「いや~、タツノコプロは山本正之さんが歌わなきゃ。今日のテーマは『大切なあなたへの手紙』です。ここに1通のお手紙が届いております。埼玉県東松山の斎藤武二さんから、息子さんにお手紙です。では、このDJハヅルが代読いたします。あっ、その前に遠方に住む息子さんの武幸さんとお電話が繋がっています。こんばんは。」
「こんばんは」
「お父様から、お手紙が届いてますが、なぜ武幸さんに直接送らなかったのでしょうか?」
「……ち、父は恥ずかしがり屋で。あんまり面と話さないんです。そして、頑固なんです」
「そうでしたか。武幸さん、お仕事の方は?」
「とび職やってますが、2ヶ月前に足場から転落して右足を複雑骨折しました」
「痛かったでしょう。足が治ったら、お父様とお会いになって下さいね?では、代読いたします」
「健太へ」
「誰だよ!健太って!オレは武幸じゃボケッ!続けて下さい」
「おかわりありませんか?」
「この前、骨折したって母ちゃんに電話したじゃねぇか!」
「父さんは、2杯ご飯をおかわりするのだよ(笑)」
「えっ、そっちか?何が(笑)だ!面白くねぇわ」
「カレーライスの時は3杯おかわりするのだよ(泣)」
「だから、おかわりネタやめろ!なんだ、(泣)って」
「お前も、早く帰ってこい。みんなが待ってている、お前が産まれた町このヒューストンへ(爆笑)そして(即死)」
「何?この手紙。あの頑固じじい、ふざけてんのか?
なんだよ、ヒューストンって。東松山じゃねぇか!」
「武幸さん、続き読みます?」
「お願いします」
「さて、お母さんのガンの事ですが」
「えっ、うちの母ちゃんガンなの?」
「武幸は心配いりません。パチンコ仲間のヨッちゃんから、車で3時間かかる山奥に、どんな病気でも治せる薬草があるそうです。父さんは、明日その山奥へ行って採ってきます」
「騙されてんだよ!クソジジイ」
「ヨッちゃんは、信用出来る人間です。何故なら、ヨッちゃんはその山で天狗を見たというのです」
「絶対嘘つきじゃねえか」
「いつまでも、意地はってないで帰ってこい。父、武二。獄中より」
「いつ、捕まったの?何したの?」
「武幸さん、お父様からのお手紙どうでしたか?」
「くっだらねぇ~」
「では、エンディングはこの曲で。西城秀樹で『走れ正直者』。また、明日~」
東京ダイナマイトの漫才をオマージュしました。
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