第60話 第1回公式イベント-11

「はぁぁっ!?」


「逃げれるかこんなん!!」


 なんて幸運なんだろう。分岐のもう一方にもこんなに人がいたなんて。


「まだまだ楽しませて貰いましょうか」


 ここでの殺戮はまだまだ続けられそうね。

 因みにさっきから眼帯は付けたままで《恐怖の瞳》は使っていない。弱や中で動きを止められて強で殺すまで出来るけど、今それをしたら面白くない。私が。


 折角表立って殺戮を出来るのにそんな機会を逃す訳には行かない。終盤になったら数を減らすことに注力するとしても、序盤だし楽しむくらい良いよね?



 また広めの空間に出た。《心の目》は……ここには20人くらいね。

 それじゃ、《沸騰する狂気》を部屋全体に広げて…………



「は……?」


「何?」


 ……発動。




「いっ…………」

「…………ぁ」





「「「あ゙あ゙あ゙あ゙ああああぁぁぁっ!!!!」」」


 再び絶叫が響き渡る。

 あぁ、私の手で人々を堕としているという実感を得られるってほんっと最高……



 それじゃあ、また始めましょうか。



「があぁぁぁぁぁあああっ!」


 私に向かって来てもどうしようもないってこと、何で分からないんでしょうね……


 ――ザシュン!!



 次、《死の波紋》!


「がはっ!」

 1人の首を掻っ切り、衝撃波が発生する。


 ――パァン!!



 ――パァン!!


 衝撃波が連鎖して、近くに居た5人の首から血が噴き出した。


「うふふっ、ほんっと面白い……」



 私はもう一度、狂乱の中で殺戮を開始した。






 ――酷い蹂躙だったなぁ…………


 私は殺戮を終えてアトラクションの建物の外に出た。途中の通路で何度かプレイヤーと鉢合わせたのも合わせて、ここで100人以上殺せた。


 えっと、現状は? 残り2時間30分で4331人。私が殺した分を引いても第1R序盤の3倍のペースで減ってる。エリアの広さに対して鬼は多くなってるけど、それにしても速い。

 特殊イベントは他のエリアでも共通らしいし、他のエリア用の新しい鬼も用意されてそうねこれは。どっちかと言うと私とシグレさんがイレギュラーなんでしょう。


 このペースなら終わりまでに残り1500人位になるのかな。全滅出来ることならしたかったけれど、流石に厳しそうね。



「やべっ!?」


 ――ザンッ!


 《心の目》を使いながら歩いていたら、またプレイヤーを見つけたので《狂風》で近付き首を切り裂く。

 MP量は無尽蔵だから、スキルを使うのに躊躇しないで済むのは助かる。


 今普通に歩いている理由は、《自由飛翔》で飛んでも屋外の一部しか見えない上人の姿はほぼ見えなかったから。視力が上がってる訳ではないし。

 そして《無形の瘴霧》で姿を消すと視界が途端に曖昧になって見逃しかねなかったから。流石にモノクロサーモグラフィーは辛い。


 これらのデメリットとメリットを天秤にかけて考えた結果、今は普通に歩いた方が良いという結論に至った。強いスキルも万能では無いんだよね。



 そんな風に殺し歩きをしていた所……


――特殊イベントが発生しました。エリア内2ヶ所にボタンが発生し、1人1回まで投票を行うことが出来ます。赤はメダル消滅鬼4体消滅、青は入手メダル3倍残り時間3時間追加、となります。残り時間1時間30分時点で投票数の多い方が実行されます――


 ふぅん? ハイリスクハイリターンかローリスクローリターンどっちを取るかってことね。

 私としては青の方にして殺戮を長時間出来るようにして欲しい。けど投票するのはプレイヤーだから、私に投票権も無いし…………



 あれ、これ投票場所1ヶ所ずつなの? だとしたら赤のボタン前で待ち伏せし続けて押させなければ、強制的に青に出来るんじゃない?

 1時間マイナスして3時間プラスされるなら結果的にはプラスになる。それなら赤に近付けさせないようにしてしまえばいい。


 私にアナウンスも場所の情報も届くって、もしかして私の為のイベントだったりする? …………いやそんなことないか。



 赤のボタンは今から全力で飛んで移動すれば5分もかからない所にある。よし、《自由飛翔》《狂風》!


 私はアナウンスが流れて間もなく赤のボタンに向けて飛び立った。




 さて、ここからは《無形の瘴霧》使って気付かず近付いた人を殺すのにシフトしましょうか。1時間あるし、ある程度は集まるでしょう。


 ボタンは1mの台座に置かれていた。私は姿を消した上でボタンの横に立っている。




 何人か集まってきてるね。ローリスクローリターンの方だから、何となく性格が堅実そうな人が多い。適当だけど。


 3人ほどが射程圏内に入ったところで姿を現し……


「ひゃっ!」

「はぁ!?」


 《死の波紋》で瞬殺する。そして、少し離れた所にいた別の数人に向かい、こちらは双剣で普通に殺す。


 その後すぐ、《無形の瘴霧》で姿を消す。


 よし。このまま1時間守り続けましょうか。




 ――ザシュン!


「はぁ!? 卑怯だろそれはぁあ!!」


 別にルールで待ち伏せするな何て言われてないからそんなこと言われてもね。

 テレビ番組じゃないんだから、あなた達に容赦も配慮もする必要も無いし。



――特殊イベントが終了しました。赤4票、青436票で青に決定しました。これよりメダル入手量が3倍になります。残り時間は4時間30分となります――


 やった! これでまだまだ殺戮は続けられそうね。時間と共に段々近づく人も減ったから、それほど大変でもなかった。


 因みに3回は私の来る前に押されてて、1回は隠密能力の高い人にすり抜けられて押された。

 完全に守りきれなかったのはちょっとだけ悔しい。



「ふふっ……」

 さあここから攻勢に転じましょうか。全滅目指して殺しまくりましょう。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

ここまでお読みいただきありがとうございます!!

「面白い!」「こういうの好き!」「続きを読みたい!」と思った方で、ブックマークと星付きレビューがまだという方は是非して頂けますと嬉しいです!

次の話以降もよろしくお願い致します。

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