第35話 再会と談笑
京都駅に着いた私は、宝玉に登録をした後、昼まで時間があったため昼食の為にログアウトし……
「そろそろ時間かな」
約束の時間が近付いてた所でログインした。北口で、確か桃色の髪に茶色の目で制服風の服だったか。
この駅は何度か来たことがあるお陰で迷わずに済んだ。ってあれは……
話に聞いていた姿の秋川さん、こちらではコスモスさんか。まだ昼前なはずだけれど……
「こんにちは、コスモスさんですよね?」
「あっライブラさん……ってえっ!? う、うん。私コスモスで合ってるけど……その綺麗なドレスと、眼帯はどうしたの?」
「合ってましたね、良かったです。格好に関しては……移動しながら話しましょうか、見られてますし」
「う、うん、そうだね!」
こちらでも案の定見られている。秋川さんに迷惑かけることになってしまった、申し訳ない……
「それにしてもライブラさん、すっごいはっちゃけてるんだね、正直予想外だったよ……」
「はっちゃけてるという訳では無く……あの、私の格好みてどう思いましたか?」
「え、えっとね……まず綺麗だなって思ってね。元々が綺麗だったし。それとね…………ちょっと言い難いけど、中二病みた……」
「違いますからね!」
「そ、そうなんだ……じゃあ必要な装備ってこと?」
「そうです、察して頂けて助かりました……」
「でも似合ってるよ? 美人は何を着ても似合うってよく言うしね!」
「あ、ありがとうございます……」
「あ、そうだ! 早速フレンド登録しとこう!」
「そうですね、宜しくお願いします」
――フレンドに『コスモス』を登録しました――
「ふふ、ふへへ……やっと登録出来たね」
「そうですね、時間かかりましたが嬉しいですね」
「ふふっ、私も!」
こっちでも無事に会えて良かったと心から思う。
「それで、これからどうしましょうか?」
「私もあんまり考えてないんだよねー、とりあえずカフェでお茶でもしながら考えよっか?」
「そうですね、案内お願いします」
「うん! じゃあ行こう!」
私は秋川さんに着いていき、カフェに向かい――
――途中で魔物に遭遇した。
「あ、コスモスさん、どうしましょうか?」
「Lvは……15だね。あとちなみに私はLv17になったよ。今回は私がやっていいかな?」
「はい、分かりました」
「おっけー!じゃあやるよ!」
秋川さんは腕を前に構えると…………水のレーザーが相手を貫いた。
「もう1発!」
おっ、2発目。CTはかなり短そうだ。
「よしっ!」
「秋川さん水属性にしたんですね」
「うん、汎用性高そうだからね!ライブラさんは何で戦うの? 次魔物が出た時には見せてね?」
「えぇ、勿論です」
2回目は遭遇すること無くカフェに着いた。戦うのは後にお預けかな。
――カランカラン……
扉を開けると、中はレトロな感じのシンプルな内装だった。カウンター席が幾つかと、テーブル席が2つある。
カウンター内側にいる30代くらいの女性は店員かな?
「あらコスモスちゃん、いらっしゃい。そっちのお洒落な格好した子はお友達?」
「はい、ライブラさんです。リアルの方の友達でもあるんですよ!」
「こんにちは、ライブラと言います。もしかしてプレイヤーの方でしょうか?」
「えぇ、喫茶店はやってみたかったんだけどリアルだとお金とか色々大変だったの、だけどこっちだとやりやすくてね。お客さんは中々来ないけど、コスモスちゃんは正式サービスの初日から来てくれてたのよ。あっ、席は好きな所に座ってね」
カフェなんてあるんだね、店で買い物したのは昨日の2回だけだったし、あんまり気にしてなかった。
とりあえずカウンター席に座る。
「私こっちでカフェは初めて見ました。店そのものを気にしてなかったのもありますが」
「ライブラさん、お店を気にしてなかったって……こっち来て何してたの?」
「そうですね……大体は戦闘ですね、たまにダンジョンに入って」
「おぉ……ライブラさん結構戦闘民族だったんだね。道理でLv上がるの速いと思ったよ」
「へぇ……綺麗だけど強いのねぇ……レベル幾つなの? あ、メニューはこれね」
「21ですね」
「高いのね……βからやってるの?」
「ライブラさんは正式サービス開始のひと月前に私が誘ったので違いますよ? それでこのLvの高さなんですから」
「そうだったの……私はβの時Lv10までは頑張ったけど大変でね。そこまで戦えないから、所謂生産系になってるのよ」
「そうだったんですか……あ、注文良いでしょうか」
「あぁごめんね、つい長々話しちゃって」
「えっと、チョコレートケーキと、アメリカンコーヒーをお願いします」
「私はいつも通りのをお願いします!」
「えぇ分かったわ」
「――それでライブラさん、装備のこと聞いてもいい?」
「えっと、どれについてでしょうか」
「出来れば全部知りたいけど、話せるものだけでいいよ」
「コスモスさんのことは信用してますので、話して構わないのですが、今回も秘密にして頂けますか?」
「うん、勿論」
「まず眼帯と靴に関しては店で買ったもので、チョーカーとドレスはダンジョンで手に入れた物ですね」
「えっ! ドレスも?!」
「はい、なので2つは魔道具ってことになりますね。特殊な効果もついてます」
「それは話しても大丈夫な物?」
「敵にはなりませんよね? イベントとかは除きますが」
「味方で一緒に居られる限り味方だよ!」
「ふふっ、ありがとうございます。まずこのチョーカーですが、私を《鑑定》すれば分かると思います」
「え、それじゃあ《鑑定》するよ? …………ってえっ!? 何これなんでこうなってるの?」
「効果は知ってますが実際どう見えるかは知らないんですよね、どう見えますか?」
「えっとね、名前、Lv、HPの現在値最大値が全部『????』って感じになってる」
「そうだったんですか。つまりですね、《鑑定》の無効化です」
「えっ!? そんなこと見たことも聞いたこともないよ」
「もしかしたら公開してないだけで、持ってる方は結構いるかもしれないですけどね」
「だとしても! これ対人戦で凄い強いよ!」
「Lv差の大きい格上だと効かないんですけどね。次にこのドレスですね」
「服の魔道具なんて初めて聞いたからね……一体どんな効果なの……?」
「まずは光属性攻撃への耐性ですね」
「うん」
「次に即死効果への耐性です」
「うん?」
「3つ目に周りの生物からのMP吸収です。勿論今はオフですが」
「えっ待って待って……」
「最後に殺した相手の魂を吸収して強くなるそうです」
「………………どういうこと、全然頭追い付かない…………」
どうしよう。秋川さんが頭を抱えて突っ伏したまま動かなくなってしまった。
「あの…………コスモスさん……?」
肩を叩いてみるが反応が無い。
「あの…………」
頭に触ってみるがまだ反応が無い。
「えい」
脇腹を突っついてみ……
「ひゃん!?」
あ、帰ってきた。脇腹弱点だったのね。
「ちょっと、びっくりしたじゃん!」
「中々トリップしたまま戻ってこなかったので、つい」
「ついって、ライブラさん、やっぱりこっちだとはっちゃけてるよね。楽しそうだし」
「そうでしょうか? まぁ楽しいのは事実ですね」
「でも脇腹はやめてね?私弱いんだからここ」
「トリップしてましたのでしょうがないですね」
「もうっ!」
「はい、出来たよ。どうぞ」
来た。秋川さんは……バニラアイスと紅茶かな?
「うん、リアルでは頼まないけどこっちで好きになったんだよね。ライブラさんは……コーヒー、ブラックなんだね」
「そうですね、牛乳砂糖は入れない派です。やっぱり、ちゃんと淹れるものだと美味しいですね」
「そう? ありがとうね」
そうして、私達はもう暫くコーヒーと雑談を楽しんだ。
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