第15話 狂気による蹂躙

注意:この話には残酷描写が含まれます。苦手な方はご注意ください。(今後の話にも定期的に入りますのでご了承ください)


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 少し進んでみたけど、幅4mくらいの通路に扉が並んでるよくある病院の内装だ。だけど、雰囲気はお化け屋敷とかのそれだね、妙に薄暗いし。

 窓は叩き割ってみようとしてもびくともしないし、外も真っ白で確認出来ない。これは俗に言う、見せられないものを隠す謎の光というやつか。


 そんなことより、恐らく本番は部屋に入ってからだ。鬼が出るか蛇が出るか……


 近くにあった引き戸を開き、部屋の中に入る。


「「ヴァァァ…………」」「グァァァ…………」


 入院用の相部屋と思しき部屋には、ボロボロになった入院着を身に付けた3体のゾンビがいた。


□□□□□

怨嗟の屍 Lv.17

※詳細鑑定不能※


怨讐の屍 Lv.18

※詳細鑑定不能※

□□□□□


 なるほど、ゾンビは2種3体。人型だしやっぱり首を狙うべきかな。


 《追風・中》《閃撃》を使い、1番近くのゾンビの正面まで近寄る。前に出してきた腕を避けるように、下から短剣で首を貫くと、その勢いのままゾンビは倒れた。


「まず1体」


 動きは遅い。それじゃあ次は奥の2体、《閃撃》!


「はっ! …………せいっ!!」


「グァァッ……」


 今度は首を切り裂くように刃を横に薙ぐ。すると、骨のような硬いものが当たる感覚が無いまま、崩れるように頭と体が2つに分かれた。


――怨嗟の屍を倒しました――

――怨讐の屍を倒しました――

――940ネイを獲得しました――


 ゾンビって生命力高いからすぐ死ななそうなイメージだったけど、首から上下に分断したら死ぬんだね。既に死んでるのに生命力はおかしいかな? 

 にしても病院でゾンビで怨讐とか怨嗟って。今この病院が存在してたら、風評被害で名誉毀損待った無しじゃない?


 ゾンビを倒し、1人になった部屋でそんなことを考えていた。その時、先程まで閉めていた扉がゾンビによって開かれていた。


 また3体ね。それじゃあ続きと行きましょうか。《追風・中》!


「「「グァァァァ…………」」」




 ゾンビ共は集団で掴みかかったり殴りかかったりしてくるが、何も問題はない。


「遅い」


「グァァッ…………」「ヴァッ……」


 それに人型だと、実際に人間を相手にする時の感覚が分かりやすい。


「――あはっ」


「ヴァァッ!」


 ゾンビを倒せば倒すほど、どこかからまた別のゾンビが現れる。だが、動きが鈍く知能も低い相手であるため、体に触れられることすらなく一体一体倒し続ける。


「ふふふ……」


 あぁ、本当に愉しい……。


「うふふっ!」




 はぁ…………足りない。30体程度で止まってしまったか。どこかに殺しあそび甲斐のある相手は…………




 いた。


 広間のような所には、ゾンビが40体、それをプレイヤー男1人と女2人が相手にしているようだ。パーティでも組んでいるらしい。

 そして何より、《鑑定》で見た結果が全員Lv.21か22なのだ。


「へぇ……面白そうじゃない」


 横入りだとかは今はどうでもいい。私のこの興奮を満たせるのなら、この程度のマナーなら捨ておけば良い。ゾンビと人間共々全員殺ってしまおう。


 まずはゾンビを倒すため、《隠密》《追風・中》《静音・弱》《閃撃》の順にスキルを使い、ゾンビの群れの中へ駆け出す。


「ふっ……!」


 先程までと同様の感覚で、ゾンビの首を一体ずつ落としていく。

 出来る限り一体あたりにかける時間が少なくなるよう素早く。そして、人間3人に認識されないように静かに。



「ヴァァッ……」


 これで最後。

 はぁ、楽勝過ぎてつまらない。《隠密》だけでこっちをほとんど認識出来なくなっていたし、前菜にもならなかった。

 まぁいいや。だってメインディッシュが3人もあるんだから。



「な、何だこれ……」


「誰? 誰か居るの?!」


「分かんない……何……?」


 正面にいる訳ではないが、目の前で殲滅してたというのに《隠密》使って動き続けてる私に気付きすらしていないらしい。


 まずは……面倒そうな男からね。ダンジョン内だし多少装備は身につけてるのね、革鎧だけど。というか、急所である首を守らないって守る気はあるの?


 こいつは1発で殺りましょうか。

 生きているかどうかも分からないゾンビと違い、人間は血液が流れていて明確な急所もある。別に難しいことは何も無い。


「がはっっ…………!」


 気配を消して男の背後から近付くと、首の右側の頸動脈を狙って短剣を振りかぶる。すると、首から血液が飛び散り、そのまま倒れる。


「何!? 何が起きて……」


「ひぃぁっ……、助けて…………」


 よし。次は背の低い方の人にしよう。こっちは少々嬲ら遊ばせて貰おうかか。

 ひとまず手足だけ落とそう、《閃撃》から…………斬る!


「いあ゙ああぁっ……!!」


「なぁっ! 大丈夫、ミコ?!」


「ひぅっ……、大丈夫じゃない……。怖い……助けて…………」


 ふふっ……いい感じだ。

 それじゃあ背の高い方の人。ここでそのまま棒立ちなんて、それは甘すぎじゃない?



 それじゃあ、まずは目を潰そう。すぐ死なれたら困るから、脳にまで刺さらないように浅く……


「ぁあ゙っ?!」


 目を潰した後は、全身を切り裂いていく。腕、肩、腹、脚、全身をくまなく傷付ける。切れば切るほど、立っていられなくなり、脚が崩れ落ちる。



 背の高い方の女は、立つことが限界となり、諦めて床にへたり込む。2人の顔は表情が恐怖1色に染っていた。


 さてこの人はもういいや、殺そう。《閃撃》。


「かはっ…………」


 最後に背の低い方の彼女だ……あはっ。


 いいなぁその顔。真っ青になって見るものの理解を拒もうとするその目、口も震えて動かせずに碌に声も出せない。

 こんなこと現実世界じゃ絶対体験出来ないね。


 ……っと、うつ伏せになられるとちょっと困る。


 やりたいことをするため、足で転がして体を起こす。腹部ががら空きだったので、ついでに腹に踵落としを入れる。


「あ゙っ?! かふっ……、ぅぇ…………」


 痛みと衝撃で口から唾液と胃液が混じったような液体が飛び散り、咳き込んでいる。その隙に上に跨ると、まず目を抉り取るために右手に短剣を持つ。


「……っ、ふふっ」


 やや虚ろになった目に指を添えて、右目のまぶたを開かせる。そこにゆっくりと刃を近付けると、抵抗のためか体が跳ねる。だが、その程度で止めるつもりは微塵もないため、問答無用で瞳に刃を入れる。

 すると眼球は表面の膜が割れ、崩れるように壊れた。


「ぁっ、やぁ……やめ……」


 そんな声を聞きながら、もう片方の目も同じように潰すと、反応や動きが見られなくなった。




 まぁ、とは剣を口から喉に刺して、と。最後はゆっくりと闇の中で死んでいって貰おう。


「……うっ、い、っ…………」


「うふ、ふふっ!」


 私の手で恐怖に陥れて殺していく時の高揚感! それに最後の彼女の顔! 特に最後の彼女は、正直見た時から嗜虐心が刺激されて仕方なかった。声も顔も身体も、全てが私の理想通りの反応だったし。何より……


 「楽しかったぁ!」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


15話までお読み下さりありがとうございます!!

今後もこのような感じで続けてまいりますので、「この先も読みたい!」という方でまだフォロー(ブックマーク)をしていないという方は、ブックマークを、「こういうのすき」という方は星付きレビューを頂けますと嬉しいです!!

それでは次の話からもよろしくお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る