第21話 今後の方針についての会議

 8月が終わり夏休みの期間も過ぎて、そろそろ俺の引退試合も迫ってきていた頃。代表の中西さんにお願いされて、事務所に来ていた。


 チームセブンの今後についての会議を行うので、俺も参加して意見を出してほしいとのこと。これから先どうしていくのか皆で考える大事な会議らしいので、もちろん俺も参加する。


 まだ俺は、チームセブンの選手としては活動していない。だけど、チームセブンに関わる様々な活動をしてきた。大会で優勝を目指してメンバーを鍛えたり、大会での作戦や連携を考えたり。既にチームセブンに所属している、という意識が大きい。


 だから、チームセブンをより良くするための会議に参加するのは大歓迎だった。


 今回の会議は代表の中西さん、スタッフの倉永さん、メンバーの西木くん。そして俺が参加していた。事務所のテーブルを囲んで、思案顔で向かい合って座る。


「どうやら、実力や実績を上げるだけじゃダメなようです。どうにかして、チームやメンバー各々の人気を出さなければ」

「ですが、既に海外では有名になっていますよね。大会で優勝したという実績が認められていますよ。つまり、大会が行われていない日本では有名になるのは難しいのではないでしょうか?」


 中西さんが現状の課題を明らかにするが、倉永さんは有名になるのは難しいことだと語る。


「日本で大会を行うとか? それは、やっぱり難しいですかね」


 自分たちで大会を開催する。そんなアイデアを口に出してみるが、難しそうだなと感じた。会場をどうするのか、参加者は居るのか、どれだけのアピールになるのか。大会を開催するコストに見合った成果が得られるのかどうか。予想が難しい。


「うーん、難しいでしょうね。色々なコストの問題と、それに見合った成果を出せるのかどうか」


 同じような問題で悩む中西さん。俺の出した意見は、一旦置いておくことに。他のアイデアを求める。


「他に、何か方法はあるかな?」


 中西さんが別の意見を求めると、今まで静かだった西木くんが恐る恐る手を上げて発言した。


「あの。多分、俺たちのゲームの腕前を気軽に見てもらえたら、今よりもっと多くの人たちに知ってもらえるようになるかもしれない、です」

「なるほど、そうだね。ゲームの腕前を知ってもらうのか」

「既に、大会の様子を編集してホームページにアップロードしてあります。それを、もっと力を入れていきましょうか?」


 西木くんの意見を聞いて、中西さんと倉永さんが言う。そういえば、編集した動画を見せてもらったことがあったな。あんな感じのムービーを増やしていくのかな。


「あ、いえ。それだけじゃなくて。最近有名な、ゲーム実況ってやつをやってみたらどうかな、って思って」

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