第9話 大会出場に向けて

 年が明けて早速、チームセブンは活動をスタートした。今年の5月にポーランドで開催されるという大会に出場することを決めたのだ。半年ほど先のゲーム大会だが、今から練習を開始する。


 出場するメンバーは5人。春原大輔くんがリーダーで、俺はコーチのような立場で彼らにアドバイスすることになった。


 実は、他の4人は地方に住んでいる。なので、大会の練習はオンラインで行うことに。


 だが、ポーランドの大会は現地で行われる。実際に戦うときは、オフライン環境になる。なので、大会1ヶ月ぐらい前から集まれる時にはチームセブンの練習ルームに集まって練習する。それまではオンラインで練習を繰り返す、ということになった。



 大会に出場する4人とは、既に顔合わせを済ませてある。オンライン上でだけど。中西さんは実際に会いに行って話をして、彼らの所属を決めたという。なので性格に問題は無いと思う。俺も話してみた感じ、しっかりした印象の少年たちだった。




 金戸達也かねとたつやくんは高校2年生で、とても元気の良い子だった。春原くんと似ている攻撃型タイプで、チームの雰囲気も良くしてくれそうだ。


「あの! 上瀬選手ですよねっ! 野球の試合、テレビで見てました! すごい選手だって知ってますよ。尊敬してます!」

「あぁ、ありがとう」

「あ、俺は金戸達也かねとたつやって言います。よろしくお願いします!」

「よろしくね。君の活躍を期待しているよ」

「はい! 見ていてください! 頑張りますよっ!」


 初対面からこんな感じで、画面の向こう側から熱気が伝わるほどの勢いがあった。



 組谷幸司くみたにこうじくんは、金戸くんと同じく高校2年生。そしてその金戸くんとは、チームに所属する前から一緒にゲームをプレイする仲間だったらしい。なので、二人の連携力は抜群。金戸くんの突撃をカバーしながら、力を合わせて敵を倒していくのが得意だった。


組谷幸司くみたにこうじです。なんか、達也の奴が騒いじゃって。申し訳ありません」

「いやいや、大丈夫だよ。これから、よろしくね」

「はい! よろしくお願いします」



 西木浩一さいきこういちくんは大学1年生で、チームの中では年が一番上の子だった。サポートが得意のようで、一歩引いた位置で戦っている事が多い。


「初めまして上瀬さん。西木浩一さいきこういちです。他の子に比べると腕前は下ですが、頑張ろうと思います」

「いやいや、サポートは上手いよ。それで、チームの皆を支えてくれ。よろしくね」

「はい、なんとか支えられるように努力します」



 そして最後の一人が、萩山隼人はぎやまはやとくん。中学2年生で、春原くんと同い年。ちょっとコミュニケーションが苦手なようだ。だけど、腕前は非常に高い。遠距離から一撃必殺を狙う、スナイパー系の武器が得意だった。


「あ、あの。よろしくお願いします。萩山隼人はぎやまはやとです」

「よろしくね。遠距離が得意なんだね」

「い、いえ。そんなに。グラスホッパーさんには、負けちゃいました、から」

「あれは、萩山くんがヤバそうなのを感じていたから、すぐ俺が接近戦に持ち込んで倒したからね。あそこで逃げられたら、やばかったかな」

「はい。だから、次は逃げて、仕留めたいです」

「いいね。次の対戦を待ってるよ。それから、大会も頑張ろうね」

「はい」


 実は彼も意外と負けず嫌いな性格だった。春原くんと競い合い、これからどんどん伸びそうな子。


 そして、腕前が一番高い春原大輔くんをチームのリーダーに据えて、5人で大会に挑む予定。


 メンバーのバランスは非常に良いと思う。彼らの腕前も相当高い。後は、チームの連携力を鍛えて、大会で使える作戦を用意して戦う。そうすれば、優勝も狙えそうなチームになれると思った。


 偉そうな事を言っているが、俺はゲームの大会には出場したことがない。そして、今シーズンはプロ野球の試合があるので大会に出場することも出来ない。だから、色々と調べて考えて準備して、大会で優勝できるように全力でサポートする。


 彼らには、ぜひ優勝してもらいたい。

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