第77話 ドクターのいやらしい罠【side 魔の森 2】

第一関門クリア…。


これは、いくつ試練があるか聞いたわけでも、私の憶測でもありません。


ずばり!

ドクターが、試練で終わらせるはずがないからです。


そのへんは、私にも容赦がないので、断言は

できます。


問題は、ドクターが、どの程度ので試練を用意しているかが不明なところです。


送られた場所は、魔王城にふさわしい…かどうかは不明ですが、いわゆる玉座の間と呼ばれる場所。


何故、ふさわしいかどうかが不明なのか…。


結論

✖️魔王城にふさわしい禍々しさがある。

○遊園地か幼稚園かというぐらい、可愛らしさが散りばめられている。


だからです。


ただ、広間の奥には、ちゃんと玉座があり、赤と紫を基調にしたゴスロリ少女(推定10歳)が玉座で眠っています。


背後には、魔王四天王と呼んでもいいようなのメイドが控えております。


何故、なのか…。

威厳がなく、ロリロリしているメイドのみなさんだからです。


(鼻血が出そう…)


と、周りを見渡している私に向かい、玉座の間に響きわたる声でドクターが語りかけます。


『おめでとう!やけに思い切った戦法をとったね!さすがに予想の範疇を超えてたよ』


お?

ドクターの予想できない行動をとれた??


なんか、初めてドクターに勝った気分。


(ふふふ…)


『えーっと、ドヤ顔しているところ申し訳ないんだが、次の段取りに移らせてもらうよ?』


ちっ!

実にドクターらしくていやらしい!


「ドクター?そろそろ姿を現してもらってもいいんじゃないですか?」

『まぁまぁ、とりあえず、玉座の前に行きたまえ』


くそっ!

やっぱり何かやらせるつもりですね…。


「はいはい、玉座に行けばいいんですね」


私の立ち位置は、玉座の間の中心あたり。

目の前に玉座はあります。


玉座まで行って、何をするんでしょ?

寝ている少女を愛でる?

メイドさん達と戯れる?


ワクワク…。


『んなわけねーだろ?プププ』


ブワン!


私が玉座の目の前まで来た途端、魔法陣が発動しました。


「う、動けない…」


私は、十字架にかけられたような格好になり、指一本動かす事ができない状態にさせられました。

これは、いわゆるトラップ魔法の類!


「何をする気?!」

『見ていればわかる!プププ』


見ていれば??


おかしい!

ドクターが、わざわざ魔法陣を構築するはずがない!


を取り出すなら、スパッと自力…まぁ、大抵はメス、で取り出すはずです。


ズズズ…。


(か、身体の中から、何かが吸い取られていく)


それと同時に、全身にほと走る痛み…。


「ぎゃあぁぁぁぁーー!痛い痛い痛い!」


私、いったい何をされてんの??


私の身体から引き剥がされて吸い出されている言語に現しにくいは、眠っている少女の体に吸収されていきます。


「ドクター?ねぇ!聞いてます?めっちゃ痛いんですけど?」


これもおかしい!

ドクターの技量なら、相手に痛みすら与えない方法をとるはず!


声の主は、本当にドクター?


怪しすぎる……。


☆☆☆


玉座の前で固定され、を吸われ続ける事、1時間。


私は耐えました!

物理攻撃、魔法攻撃の無効。

各女神の加護持ちの私が、ありえない痛みに耐えたのです。


『そうだね…普通なら、5秒以内に死ぬね』


くっ…。

あっさりと認めやがった!!


ドサッ…。


私は力尽き、玉座の前で四つん這いになって、ハァハァしなくちゃならなくなりました。


でも、ステータスはエラーのまま。

能力を吸われたわけではないようです。


「そろそろいいでしょ?出てきて下さいよ…ドクター…はぁはぁ」

『いいだろう…驚くなよ?』

「何を今更…」


スッ…。


「やぁやぁ、楽しんでもらえたかな?プププ」

「楽しめるはずはいでしょうがっ!」


姿を現したのは、紛れもなくドクター。


しかし、何故かネームプレートをつけています。


No.1050


「………」

「俺は、正確にはオリジナルではない!クローンでもコピーでもない!ステータスを見て貰えばわかるが、魔法開発者だ」

「は?」


意味不明!


スッ!

スッ!

スッ!

スッ!


そこに現れたのは、さらにネームプレートをつけたドクター達。


「私達は、オリジナルから生み出された廃棄物なんですよ…簡単に言えば、ちなみに、私は汗から生まれました」


No.1000がそう語ります。


「こいつは、垢から生まれてるから、ちょっと性格が変なんだよ」


と、No.1000800


「うるせーよ!清掃係の100万台は黙ってろ!!」

「まぁまぁ…1050は、私の言う事を聞けますよね?」

「お、おぅ…」


何言ってんの?この人達…。


この中で、黙って聞いていたのがNo.200とNo.2


口を開いたのはNo.200。


「お前ら、いい加減にしろよ?俺達は、ステータスMAX止まり、イノリ様はMAX超えで、オリジナルのパートナー、もっと敬意を払いなさい!」


ザッ!


「「「「失礼しました!」」」」


No.200の言葉に、No.2以外が揃って平伏してしまいました。


何がなんやら…。


☆☆☆


要約すると、ドクターの廃棄物から生まれたは、現在、約200万人。

そのうち、No.1からNo.10までは、ドクターが、自分の血液から生成した、紛れもない分身体。


その実験過程で生まれたのが、廃棄物と言われる、汗や垢、フケなどの、人間であれば、洗い流す汚物から生まれた廃棄体。


(何か不憫…)


10人の分身体は、この世界に来て、すぐに誕生し、各地で外交や調査を行なっていたとの事。


(どうりで、あちこちの国でドクターの痕跡があるはずだ…)


山脈の掘削許可とか、王位の交代、ダンジョン云々、交易云々…。


今考えれば、流石に1人でこなすのは無理がある。


なんせ…ドクターは、ずっと私と居たんですからっ!


ちなみに、現在、ドクター本人のステータスは、♾️表示になっているとか…。


で、No.1から10までがエラー表示。

それ以降は、この世界の最大値

レベル1000

称号100

各種能力100万

に統一されているとか…。


ドクターが、まだエラー表示になっていた頃に生み出された廃棄体は、♾️表示になった事で、その役割を終え、これ以上は増えないとの事。


「さぁ!みんな、持ち場に戻れ!そろそろ魔王様のお目覚めだ」

「「「御意!」」」


フッ!


こうして、ある程度の情報を残して、No.2以外は消えていきました。


が!


めちゃくちゃ謎が増えたんですけど?


「えと…」

「あ、すみません。説明が不充分でしたね」


こう言って、No.2は、補足説明をしてくれました。


まずは、私ことイノリ関連。


私から抜き出したのは、私と融合したドクターの幼馴染のすべて。

入れ物は、目の前にいるゴスロリ少女。

これからは、私は私として活動できる。

魔王城は不落城として、この世界に君臨する。

私は、これから常にドクターと行動を共にする。

その他の補佐はナンバーズがやる。

ドクターは、そのへんを端折った為、回りくどい罠を張って、強制的に幼馴染の分離と魔王、魔王城についての説明をする事となった。


次に、魔王城及びナンバーズの立ち位置について


魔王城は、幼馴染さんの天国とする。

本人の名前は、本人につけてもらう。

ナンバーズは、魔王城地下に設置してある各部署に配属され、優秀な者から重要任務について、この世界のあらゆる事を、するために尽力する。

ただし、魔力や体力は補充されないので、普通に死ぬし、腹も減る。

いわば、ドクターの駒にすぎない


との事。


(やはり不憫…)


最後に、地下施設で研究開発されているのが、


•幼女制作

•対敵用、汎用ロボット(18禁ロボットあり)

•新魔法構築プロジェクト(18禁魔法あり)

•スキル管理書庫

•世界掌握管理システム

•対物理、対魔法迎撃システム(18禁システムあり)


などなど…。


(18禁ロボット、魔法、システムとは???)


「さ、さぁ、説明はこれぐらいです。知りたければ、オリジナルと一緒にお越し下さいませ」パチン


私は、指パッチンと同時に、元いた城壁の上に飛ばされていました。


18禁とは…。


若干の謎を残して、結局、ドクターの適当さに振り回されただけの私。


(まぁ、いいけどさ…)


でも、なんかむかつくぅーー!!


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