通り雨、たそかれの涙

霄咲しのぶ

きみのこと



 誰が君をおとしめよう


 そんなものは赤子とおもえ


 きみの手助けをさせてくれないか




 ────────────────────




 できれば、もう少し正直になりたかった。




 ────────────────────


 …ぽつり。雫の落ちる音が、わたしの耳に触れた。


 それは雨か、はたまた別のなにかなのか、わからない。


 目の見えないわたしには、


 ただ、喪失感としか言えない、寂しさが


 正体もわからずとんと胸の中心に置かれている、


 それだけはわかるが、あとはなんだかよく解らない。


 きみはいま なにをしているの。


 どんなことを想っているの?


 そう想っても、君に届くわけじゃない。


 だけどたしかなのは、わたしの胸にはいま、きみしかいないということだった。


 もうずいぶんむかしのようにかんじた。


 それはいまも、たからもののように、わたしの胸の深いところに

 とうぜんのかおをしてあなたは笑っている。


 それがわたしには愛らしくて、

 可愛くて、

 なによりも大切だ。


 その感情はなんなのか、

 いまは気づきたくない。


 ゆっくりと




──────────────────結。


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