第23話 二人の運命は?

「ん…」




美優は病院のベッドで寝ている巧のそばで寝ていたが目を覚ました。




「巧!?」




ベッドに寝ている巧に目をやるが巧はまだ寝ていた。




巧は検査の結果、脳震盪をおこして倒れただけだった。




「巧…」




美優は巧の手を握り名前を呼んだ。




“コツコツコツコツ…”




二人を引き裂く音が次第に大きく聞こえてきた。





“ガラッ…”




巧の病室のドアが開いた。




「あなた…」




美優は巧の前に立ち、あまり巧が見えないように立った。




「神田美優さんだよね?ちょっと話いい?」




男は全身黒づくめ、首にカメラを掲げていた。




「…」




巧を心配そうに見つめ、そっと握っていた手を離し、男についていった。




“ガラガラ…”




病室のドアが閉まるとともに巧が目を開けた。




「美優…?」




巧は美優を呼びかけたが、体がなかなか思うように動かせず、ゆっくりと体を起こした。




「何ですか…話って?」




病院の屋上にカメラマンの男と美優はいた。




「あんた…やるよね~」




「…え?」




そういって昨日の写真を見せてきた。




巧が担架に乗せられている写真やヒロが警察に連行されている写真だった。




「あれだけ叩かれたのにまだ男取り合ってたのかよ。」




「違います!」




「しかも巧は担架で、あの二世息子は警察に連行…いい記事かけそうだよ、本当。」




男がボイスレコーダーを美優の前に出してきた。




『いや~あの時は芸能人って知らなかったけど、日向巧が確かに結婚の挨拶に我が家にきましたよ。急な結婚で驚いたんだけどね。』




「…お…じさん?」




「フッ…あんたのおじさんに金渡したらペラペラと喋ったよ。あとはあんたの証言がほしい。」




男が美優に近づいてきた。




「あんた、借金どうした?」




「え?」












「あの日向巧がオンナに溺れて金で結婚ってニュースになったら、あいつはもう終わりだな。」










男が美優のネックレスの指輪に触れてくる。




「触らないで!」




「証言しないならその指輪をよこせ。」




「やめて!」




「美優!!」




「巧…」




「じゃあツーショットとこの指輪の写真を撮ってやるよ。」




男がネックレスをちぎり美優から指輪を奪い取った。




「返してよ!それは世界でひとつの指輪なんだから!」




「どっかのブランドのオーダーメイドかなんかか?」




男は指輪を空にかざし、指輪を事細かにチェックする。




美優は指輪を男から奪おうとしてフェンスのよじ登った。




「美優!!」




巧が駆け寄ったが、美優はバランスを崩し始めていた。




「美優!!!」




まだ頭はクラクラしたが力のある限り巧は走った。





――そうだ――





15年前のクリスマスもこんな感じで





巧が助けてくれたんだ…





美優は15年前の思い出がよみがえってきた





あの日飛び込まなかったら巧は――




巧も身を乗り出し美優を15年前みたいに引っ張り上げようとしたが、病み上がりで19歳の美優を引っ張り上げるのは無理だった。




巧も15年前の記憶がこの時はっきりと戻っていた。




「クッ…」




美優――




今回はあの時みたいに引っ張り上げれそうにない




このまま一緒に落ちるしかないのか?





それならせめて





せめてお前だけ――




“ドサッ…”




「キャーーーーー!!!!!」




「誰か上から落ちてきたぞ!!」





「担架だ担架!!」




「先生も呼んで!!」




美優と巧は寄り添うように下に落ちた。




「男性患者、頭部の出血が酷いです。」




「男性は花壇のレンガの部分に落ちて頭を打ったそうです。」




「女性は!?」




「女性は男性が頭を守っていたので全身打撲みたいですが…」




医師が美優の体を見る。




「これは…」




「先生!男性意識レベル低下しています!」




「わかった!この女性は専門の先生へ…」








もしこのままあの世にいったら





一緒にいけたら






私たちずっと幸せでいれるかな?

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