つめたい
文化祭の準備でその日はとにかく忙しく実行委員の仕事が終わらなくて、日も暮れてもう暗くなってしまった。
作業は体育館だったから最終の確認も終わってあとは自分の荷物を3階の1番奥にある教室に取りに行って帰るだけ。
3階は階段を上がるとすぐ目の前がとても広くなっていて3、4クラスくらいの人数が集まってもまだまだ余裕があるくらいの広いスペースがある。
その奥を左右に廊下が吹き抜けの中庭を囲うようにOの字になっていその廊下を教室がさらに囲んだ感じになっている。
私の教室はわりと奥のクラスだった。
クラスまで着いて荷物を取って、来た道を戻ろうとした時、
サーッと寒気を感じた。
ほんとに寒い。
季節は秋になったばかりなのに、なんでこんなに寒いのか、と思ったら口から白い息が出てきた。
とりあえず急いで廊下を抜けて広いスペースまで来ると目の前にチラッと光るものが落ちてきて手に当たった。
「冷た!」
雪だった。
びっくりして一旦とまって見回したけれど近くの窓が開いてるわけでもない。
自分が来た奥の教室の方から高めの女の人のような笑い声が聞こえてきて、怖くなったので急いで階段の方へ小走りで広いスペースを抜けた。
階段を降りる時、一瞬振り返るとあの広いスペースは真っ白な雪で覆われていて吹雪いていた。
わけがわからないけれどあの笑い声も近くなっているような気がしてそのまま階段を飛ばしながら1階へ。
下駄箱に行くと委員会で一緒だった子達が私が降りてくるのを待っていた。
今起きたことを話したけれど笑って相手にしてもらえなかったけれど。
あれはきっと雪女にちがいない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます