第53話 名探偵枚田(前編)

 *枚田美瑠*



 藤屋さんを見送った後、自然と小平さんとは別れた。彼女は彼女でやることがあるのだろう。そして、私にもやることがある。


 ラピスベリーとぐらぶるダクションの関係を知る。

 

 現在私の推測でわかっていることは。


 ・Vtuber界ではラピスベリー>ぐらぶるダクション。

 ・ぐらぶるダクションをゲーム業界では大手のエターナル株式会社と考えると、エターナル株式会社>ラピスベリー。

 ・狡噛レンと最爽エリーがオフコラボし炎上。

 ・そのあと狡噛レンは最爽エリーの配信場所にいるという奇行に走っているという嘘を公開されて活動休止。←向井情報

 ・炎上後、今度は別のライバー同士コラボ。←普通ありえない

 ・このコラボはある契約といった感じだった。←盗み聞きから

 ・部長「あなたのシナリオに従ったら」という発言。←だれかが裏にいる?

 

 今のところこんな感じだ。


 部長の言った“あなた”を仮に浅羽副社長と置く。


 浅羽副社長は確実にラピラベリーの中でも上の立場の人だ。

 だからぐらぶるダクションの部長が電話相手にへりくだって話しているのは“普通”なことだ。

 けど私はそこに違和感を持った。“なんで部長の方がへりぐだって喋ってんだ?”と。


 私が今の情報を踏まえて考えるに、向井くん情報でちゃんと案内された場所にいたと聞いてる。んで最爽エリーは直前で配信すっぽかしてどっかいった。明らかに最爽……ラピスベリーに非がある。

 じゃあ、ラピスベリーがぐらぶるダクションに頼むはずだ。『最爽がやらかしました。ですがこれ以上ラピスベリーに傷をつけるわけにはいきません。どうか口合わせをお願いしたい。どうかお願いします』と。


 だから無理にでも向井くんの話も聞かずに活動休止を決めてしまったのではないだろうか? 『その代わりと言ってはなんですが……まだ我々ラピスベリーとの関係を維持できる』みたいな利益をガッツリ捕まったと考えられる。


 んで、そう考えるとこのやりとりがあった後だと、ラピスベリーとぐらぶるダクションの関係性は“逆転”してないだろうか?


 ラピスベリーに傷が付かないように話に乗ってあげたんだ。完全に立場はぐらぶるダクションが上になるはず。なのにへりくだって喋っている。すんごい違和感を感じた。


 いろんな答えに辿り着くにはまだ情報が足りない。だから今日は今もラピスベリーで勤めている同期と話しを聞こうと考えた。


 そして現在に至る。



 「久しぶり〜!! 美瑠!!! 元気だったぁ??」

 「うん、めっちゃ元気!笑 輝元(てるもと)は相変わらず元気そうだな」


 今目の前にいるのは私がラピスベリーで同期だった輝元明(てるもと あきら)だ。何度も彼女の明るさに助けられたものだ。


 「あったら絶対言おうとしてたことがあります!!! 私……イベント計画代表に選ばれました!!!」

 「え!? まじで!? すごいね!!!!」


 イベント計画とは、ラピスベリー全体のライブやサイン会などを計画すること。それの代表ってことはかなりすごいことだ。


 「美瑠が辞めて残念だったけど、めっちゃ頑張ったんだ〜!! 由里子もいまマネージャーでめっちゃ頑張ってるよ!」

 「そっか……頑張ってるんだ」


 由里子か……元気にやってるかな。江東さん我が強いから苦労しないといいけど。

 本題に入ろう。

 

 「なんかラピスベリーに変わったこととかなかった??」

 「変わったこと??」

 「うん、なんでもいいからさ。色々話そうよ」

 「ん〜〜変わったことか〜……」


 なんでも些細なことでも情報が欲しい。ラピスベリーでの変化が何かにつながるかもしれない。


 「あっ、そういえばエターナル株式会社の……これいっちゃダメなやつだね」

 

 エターナル株式会社会社!? ぐらぶるダクションの親玉!? これ絶対聞かないといけないやつだ!!!!


 「エターナル株式会社がなんて!?」

 「えーこれはいっちゃダメだって〜〜」

 「頼みます〜明様〜〜!!! そこで切られると気になるじゃ〜ん!!」

 「ダメって言ったものはだ〜め〜ですぅ!!」


 くっ、どうすればいいんだ……絶対聞かないといけないやつなのに……


 「……そういや美瑠はなんでここにいるの? 散歩?」

 「そんなわけないじゃん。付き添いだよ」

 「誰の?」

 「鷹葦ロミの」

 「確かぐらぶるダクションの?」

 「そそ、私マネージャー」

 「マジ!?!?」

 「マジ〜!!」

 「二社連続マネージャーしてんじゃん!笑」


 すごい笑いながら談笑している中、今まで以上に頭をフル回転させて情報を吐き出させるか考えていた。


 「……ふむ、じゃあ時期に知るかな……? 絶対言っちゃダメだよぉ??」

 

 まじか!? なんか言ってくれる流れになった!!!

 絶対言っちゃダメだよ〜って言ったやつ大抵広まってるのは常識だけど、私は絶対言わないからな!!!


 輝元は私の耳元で囁いた。


 「なんかぁァエターナル株式会社ってメタバースを活用したゲームを作って人気になったじゃん? そのエターナル株式会社のメタバース技術を使用できるようになったんだって。だからそれを使ってイベント考えろって私のところに来たァ〜」


 ………どういうことだ?



ーーーーーーーーーーーーーー



 昨日体調悪くて爆睡してました。


 復讐代行編スパートかけていきますー。みんな思っているはず、長いと。


 




 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る