第15話 新たな向井

 「んで、どうするの? 配信活動禁止令出てるんでしょ?」


 枚田さんのいう通り狡噛レンにはぐらぶるダクションから配信活動禁止令が発布されている。

 だからこれしか方法ないよな……


 「とりあえずぐらぶるダクションやめます」

 「ふぅ〜ん……」


 無難な解答だろう。枚田さんも納得したのか水を飲“ガン!!”


 「やめるの!?」


 飲んでいたコップを勢いよく机に置き、前のめりになる枚田さん。

 き、気にしてなかったがかなり……でかい!


 「え、だってそうするしかなくないですか? 個人勢はなれば自由ですからね」

 「確かに個人勢ならエレ○・イェー○ーもにっこりだもんね」

 「なんですか? そのネタ?」

 「え? あお○り高校知らない?」

 「知らないっす」

 「んじゃ、忘れて……結構ショートとかで有名だと思うけどな……」


 あお◯り高校か……また気が向いたら調べてみるか。


 「機材とかどうするの? やめるなら返さないとじゃない?」

 「そこも大丈夫です。元々個人勢からの企業勢なんで機材は自前のあります」

 「え? 機材って結構高いよ? なんで高校生が持ってるのさー」

 「まー稼ぎました」

 「バイトとか?」

 「まーそんなとこっす」

 「ふぅ〜ん……ま、深くは聞かないよ」


 別に隠すつもりはないんだけどな。過去の大会の賞金で勝ったってだけだからな。

 あ、そういやこの大会に一緒に出た仲間から『配信始めたら?』って言われたっけ? 

 けどエターナル株式会社に誘われてVtuberデビューすることになるんだけど。

 だから結局個人で配信始めてないかも。


 ま、いっか。


 「だから機材とかも問題なしで配信できます」

 「まーそこは解決してるとして……」

 「? 他に確認することあります?」

 「ファンはどうするの? 狡噛レンはぐらぶるダクションなものなわけだから使えないよね? あと、心機一転して個人勢として配信始めますってことどうやって知らせるわけ?」


 そこだ。個人勢として続けるといっても狡噛レンはぐらぶるダクションのものだ。もうな狡噛レンのアバターは使えない。転生といって違うアバターに乗り移るという手もあるが、なんかしっくりこないんだよ。

 んで、ぐらぶるダクションからは配信活動禁止令の他に勝手にツイートするな令も敷かれている。下手にツイートできない。

 だからこの方法しかないと思った。


 「まず狡噛レンについてですが“諦めます”!」

 「諦めんの!?」

 「はい。晴れて個人勢で活動しても著作権とかで訴えられたら嫌なんで。んで、転生ってのも考えましたが狡噛レンを推してたファンに悪いと思ったんでそこはファン達と相談します」

 「相談はいいんだけど……どうやりとりするのさ。ツウィッターも使えないだろ? 監視されてて」

 「……枚田さん。“ツウィッターサークル”っていう機能知ってますか?」

 「ツウィッターサークル?」


 説明しよう!! 普通のツイートの場合、フォローされている人全員に公開される。

 だが! 「この人にはみられたくないな〜」なんていうサブ垢などで行っていた行為をツイートを本垢でできるんです!!

 インスタなどでいう親しい友達リストと同じ感じだぞ!


 「へぇ〜そんなのあるんだ」

 「そうなんです。俺はリスナー達と会社にこっそり一緒にゲームしよう! なんてこと考えて会社を抜いたフォローされているアカウントを自分のサークルに入れてたんです。使う機会なかったけど……」

 「なるほどね! その機能を使えば会社にバレずにファンとやり取りできるわけだ!」

 「個人個人のDMはできますが、それだと時間かかるのでこれが一番の最適解かと。コラボ配信以来アンチコメントするがためにフォローしてくる輩もいるのでコラボ配信後フォローしてくださった方はサークルに入れてませんが」

 「それは正しいね。ネットの人は悪いと思った人はとことん叩こうとする習性があるから新しく配信するなんて知ったらすぐ晒すと思うし」

 「やっぱりそうですよね。そうします!」

 「んま、計画は決まったわけだし……残り食べちゃって?」

 「は!?」


 色々考え込んでたせいか食べてた手が止まっていた。めちゃめちゃ冷めてるけどそのあと美味しくいただきました。


 


 ****



 「今日はありがとうございました!」

 「こちらこそだよ! いろいろ聞いてくれてありがとうね!!」


 お互いご飯を食べ終え会計を済ませた。枚田さんが奢ると言われたが絶賛職を探している方に奢らすのは気が引けたので自分で払った。

 直接職なしとは言ってないぞ。


 「んじゃ、私はバスで帰るね……って向井くんも? バス停待ってるところであったからそうかな?」

 「そうですね」

 「んじゃ、一緒に行こっか! そうだ! 連絡先交換しない? 一応配信企業で働いてたからなんか困ったら力になるよ!」

 

 打ち合わせの時はやばかったけど、大手のラピスベリーに勤めていた実績がある。そんな枚田さんが色々バッグアップしてくれるのはすごい助かる。


 「そういうことならお願いします!!」


 俺はLINENという連絡アプリを開きQRコードを出し、枚田さんがそのQRコードを読み取る。


 「よし! 追加完了! これからもよろしくね! 社会クソだ連合ばんざ〜い!!」

 「はい! お願いします! 社会クソだ連合万歳!!」


 待っていたバスが到着に一緒に乗り込む。最近どんなことが高校で流行っているのかや、修学旅行どこに行った? などの軽い話をした。


 あまり歳は離れてないが修学旅行の場所違うんだ。みんなはどこに行った? 俺はど定番の沖縄らしいぞ。


 そういやバスから降りて家に向かって歩いてるんだが……枚田さんと分かれんな。

 

 なんやかんや考えているうちに家に着いた。俺の家は17階建ての高層ビルだ。


 「……話に夢中にさせて自然と相手の家を知る……プロだね?」

 「なんのですか!? それにここ俺の家ですよ!」

 「え? 私もここよ」

 「「へ?」」



ーーーーーーーーーーーーーーー


 遅くなりすみません。これからこの時間帯になるかもです。


 家が同じというど定番!


 

 

 


 

 

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