第3話 初めて倒すモンスターはやっぱりスライムだった
「……チートスキルは一杯あるけど、金もなければ装備もないし、まだLVも低いからなぁ……レベルが低いって事はステータスもまだ低いままってわけで」
俺は今後の事を考えていた。
「とりあえずは金がいるな……金がなきゃ装備も買えないわけだし。レベルがあがらなくても装備さえまともなものが買えればある程度はまともに買えるでしょ。それと、回復系のアイテムだな。ポーションか薬草……それも金さえあれば買える。やっぱり異世界でも金が必要だわな……」
俺は独り言を呟く。俺みたいな陰キャはよく、ロープレをやっていたので、この手の異世界にはある程度詳しいのだ。ロープレの知識も役立つものだった。
「つったって、どうやって金を稼げばいいんだ。アルバイトでもしろっていうのかよ?」
俺は嘆いていた。右も左もわからない異世界で働き口を見つけるのは何かと大変そうだ。
——と、その時であった。俺の目の前に複数体のモンスターが現れたのである。
「へっ……エンカウントしやがったか。あのド定番のモンスターと」
俺の目の前に現れたのは複数体のスライムだった。
装備も技も何もない。何の持ち合わせもない俺だがそれでもスライムなら何とかなるんじゃないか。そんな期待感を俺は持っていた。
ともかく、やるしかなかった。俺の異世界での生活。その第一歩はここから始まるんだ。
「やってやる! やってやるぞ! うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
裸一貫(勿論、本当に裸なわけではない。装備らしい装備を身に着けていないというだけで)の俺は、仕方なく、スライムに殴り掛かる。
スライムが断末魔を上げて、果てた。
やった。やれるぞ。今の俺でも、スライム相手なら何とかなる。
「よしっ! 次だっ! うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
俺はスライムを次々と殴り、そして倒していく。
いつの間にか、スライムは一匹たりともいなくなっていった。
「はぁ……はぁ……はぁ……何とかなったか」
俺はほっと一息を吐く。現地の人達からすれば、高々スライムだと思うかもしれない。だが、LVも装備も何もない俺からすればその高々スライムだって、十二分に脅威になりうるのだった。
『LVがUPしました』
『モンスターを討伐した事で資金を得ました』
大いなる存在からだろう。どこからともなく、俺の脳内に直接語り掛けるような声が聞こえてきた。
「おっ……レベルが上がったのか。流石にLV1なだけあるな。LVが低い分、弱いモンスターを倒しただけでもLVが上がるな。それに資金もゲットできたのか。一石二鳥だな」
通常、モンスターの強さと獲得できる経験値というのは比例している。だからあのスライム達を倒して得られる経験値なんてたかが知れているとは思うのだが……。
「ステータスオープン」
俺はステータス画面を開き、確認する。
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臼井影人 16歳 男 レベル:3
職業:無職
HP:15
MP:15
攻撃力:15
防御力:15
素早さ:15
魔法力:15
魔法耐性:15
運:15
装備:特になし
資金:500G
スキル:『HP成長適正大』『MP成長適正大』『防御力成長適正大』『素早さ成長適正大』『魔法力成長適正大』『魔法耐性成長適正大』『経験値取得効率向上』『レベルアップ上限突破』『資金獲得効率大』『炎耐性大』『水耐性大』『雷耐性大』『地耐性大』『光耐性大』『闇耐性大』『全武器装備可能』『全防具装備可能』
『アイテム保有上限突破』『魔獣、聖獣使い(※ありとあらゆるモンスターを使役する事ができる)』『勇者の証(※勇者が取得できる全技が習得可能になる)』『解析(アナライズ)』※モンスターのデータを解析し、読み取れるスキル。
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「おおっ、レベルがあがってるな」
スライムなんて倒しても大してレベルが上がらないと思っていたのに、LV1からLV3まで。2もレベルアップしているじゃないか。これも、あの女神が手違いでくれたチートスキルのおかげだ。俺には『経験値取得効率向上』というスキルがある。
その為、経験値を効率よく取得できたのかもしれない。多分そうだ。
それに、資金だって思ったより増えていた。これもスキルのおかげだろう。
『資金獲得効率大』。このスキルはモンスターを倒した際の資金効率を上げる事ができる。500Gの価値がどれほどのものなのかはわからない。もしかしたらある程度は装備を整える事ができるかもしれなかった。
「とりあえず、装備を整える必要があるな。500Gで足りるのかはわからないけど……ステゴロだといずれ限界が来るのはロープレでも同じだしな……」
俺は適当な国に入り、そこの装備屋を目指す事にした。どんな格安の武器や防具でもないよりかはマシだからだ。
そしてもし、お金が余ったら道具屋でポーションか薬草を買おう。やはり回復アイテムは異世界で生活していく上で必須なものだからだ。
こうして次なる目標が定まった俺は入国できる国を目指した。召喚された国、『エスティ―ゼ』王国を俺は出禁になっているので入る事は出来ない。
今頃、召喚された勇者が実は何のスキルも持ち合わせていない事に気づいて、大慌てになっているかもしれないが。そんな事は知った事ではなかった。俺の事を追い出したのはあいつらなんだし。
ともかくスライムを倒した俺はこうして、次の国へと向かったのである。
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