第455話 えびえびしすたーず「世界で一台の車」

「……先輩。この車って先輩が大学生の時にテストドライバーで運転していた実験用の水素自動車じゃないですか?」

「後輩、よく覚えていたわね」

「先輩、忘れませんよ。この車って先輩がコスプレしながら走り屋しているとか言う訳の分からない噂を聞きつけた『内燃機関は不滅なのだ研究会』の連中が大学の設備と予算を、どのような方法かわからないですが書式をきちんと整えて」

「エンジンから車体まで一から作って……。ただ、自分たちが大学の設備と予算で遊びたかったのを誤魔化して……。最後は、私に全て押し付けたことを忘れていないぞ!!!」

「先輩。どうして先輩がテストドライバーって話になったのですか?」

「後輩。安全性無視したロマンだけ詰め込んだ完成度もわからない車の運転を引き受けるような学生は、私しかいなかったからよ」

「それで先輩。大学謹製の水素自動車がどうしてここにあるのですか?」

「それが『内燃機関は不滅なのだ研究会』が解散するとかで、水素自動車をどうするかと言う話になったらしくて、廃車にするくらいならと私の家の前に乗り捨てていったのよ」

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