第166話 えびえびしすたーず「思い出と言う名の地層」

「先輩。この衣装を着ませんか?」

「後輩、どこから見つけてきた!?」

「えーと、あっちにそっちにあそこにこちらに上に下に右に左に前に後ろに横に表に裏側?」

「後輩。後輩こそ着たらどう?」

「えー、こんな昔の作品のコスプレできませんよ」

「昔の作品って言うな!」

「先輩。このコスプレで婚活のパーティー行ったら人気出ますよ?」

「後輩こそ婚活のパーティーで、そのコスプレ着て行ってこい!」

「だって先輩。私が昔の作品のコスプレしても似合わないじゃないですか?」

「後輩……。メイド服を貸すぞ」

「先輩、婚活のパーティーにメイド服を着て行ったらパーティー主催者さんから追い返されるじゃないですか!」

「後輩。後輩なら学校の制服を着て行っても大丈夫だぞ」

「先輩、それって絶対懲戒免職になるじゃないですか!」

「後輩。わが校の決まりで、学校関係者は、お見合いに学校の制服を着ていくのが認められているぞ」

「先輩、嘘でしょう!?」

「後輩。あの教頭も学校の制服を着てお見合いに行った人だぞ」

「何かあれば規律規律と言ってるあの教頭が!?」

「さすがに、私も教頭の話は聞いたことがあるだけよ。何でも、戦後の貧しい時代にお見合い用の着物を買えない学校関係者の女性を支援するために、制服の貸し出しを始めた伝統ある話らしいわ」

「……先輩。お嬢様学校の制服って人気ありますよね?」

「人気あるわよ。何しろ制服を着たくて、生徒が入学してくるほどだもの」

「本物のお嬢様学校の制服を着て合コンに行ったらモテモテですね!」

「……後輩。さすがに、それはモテモテと反対になると思うぞ?」

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