ラブホ内恋愛

ジルコニア

第1話

昔からダメダメだった私は長年務めていた職場を辞めた。

生活の為にとりあえずアルバイトでもしないとと思いつつ訛った身体はそれに追いつかない。

ある日求人サイトでたまたま"ラブホテルオープニングスタッフ募集"と書かれていた広告を見た。

前職とは異なる職種だったが私はそれに応募した。

10月15日OPENと大きく書かれた建物。

面接の日はまだ暑い日が続く9月上旬の日。ツクツクボウシが鳴いていた。

中に入ると工事の音がうるさく聞こえた。

「まだ工事中でね、うるさくてごめんよ」

中を案内してくれたその人に支配人と書かれた名刺を貰った。

「今日面接を担当させていただきます。渡辺です。」

そう言うとその人はパソコンの前に置かれた椅子へと座った。

「こちらこそよろしくお願いします。」

深々と頭を下げると近くの椅子に"どうぞ"と会釈された。

狭いその部屋は支配人室と書かれていた。

「履歴書拝見します。」

・・・本門明日香 平成10年3月10日 090・・・

履歴書を見た支配人は「採用ね」とあっさり言った。

私も慌てて「ありがとうございます。」と深く頭を下げた。

「見ての通り10月15日OPENだから...9月15日から来られる?準備とか手伝ってもらいたいと思ってるんだけど...」

「はい、よろしくお願いします。」

こうして私はラブホテルに勤めることが決まった。


初出勤の日

私は日勤帯で働くと言うことを選んだ。清掃担当だ。

同じパートさんとは今日が初対面の日だった。

「同じ清掃担当の汐入です。ここには初期OPENからいます。改装され会社も変わっていますので皆さんと同じ新規として扱ってくれると嬉しいです。」

50歳半ばだろうか...

「同じく清掃担当の難波です。」

淡々と自己紹介が進められる。

「フロント担当の白石です。」

今日集まったのは私含め4人だった。

それに大勢の正社員もいた。

私も自己紹介を済ませた。その後会社の規約や制服の貸出等書類関係に目を通し、清掃の仕方などを学んだ。

OPENまで1ヶ月を切った建物内はバタバタしていた。

ネット上やフロントに掲載する写真撮影、アメニティー類の配置建物内に不備がないかなどの確認事項が多いみたいだった。


しばらく立ち、OPEN準備が終えた。

予定どうり10月15日15時のOPEN初日の日だ。

その日は朝からバタバタしていた。

OPENカウントダウンが始まり、一斉にクラッカーを鳴らした。

それに比べ客入りは静かなスタートだった。

日勤帯の清掃従業員は私含め3人だった。

フロントもパートでは白石さんだけというスタートだった。

支配人はパートを募集しても来ないといつも嘆いていた。

OPENから2、3日もすると正社員の人達が他県へと帰っていった。

だがあまりにも従業員が少なすぎると言うことで他県の正社員が応援として来ることになった。

大分寒なった11月25日。

忘れられない出会いをした。

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