「運命的な再会」不知火伝説 恋ものがたり

神崎 小太郎

プロローグ


 気づけば あの熱い夏の日々は過ぎ去り、晩夏のセミの鳴き声も聞こえず、 落ち葉が舞う季節 「秋」が そっと近づいてくる。


 秋は切なく儚いけれど、夏と冬の間にオレンジ色に輝くひとときだ。日本のように北半球にある国では一年の後半に秋が訪れ、南半球にある国では一年の前半に秋がやってくるという。それは自然の摂理だが、そっと見守ってあげたくなる。


 秋の季節をアメリカでは「Fallフォール」、イギリスでは「Autumnオータム」 と呼ぶそうだが、私はフランス語の「L'automneロートンヌ」という響きが洋菓子に映り込んで一番好きだった。その言葉には、一日千秋の甘い誘惑の想いが込められているように感じるのだ。


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