無駄遣い

 陵は、すかさず優依を見て、

「かわいいー」

 と褒めていた。

 

 …

 

 そんな二人をジトーっとみていたら…

 奈美さんの視線を感じた。

 

 あ、奈美さんと目が合ってしまった…。

 

「な、奈美さんかわいいなぁ」

 と慌てて言うと優依が、

「早速、イチャイチャするねー」

 と言ってきた。

 

 …

 

 へいへい。

 先にそちらがイチャイチャしてたんじゃな

 いっすか。

 と心で言い返すも、無駄だ。

 言い返しの無駄遣い。

 

 無駄遣いは、しちゃダメですと幼い頃から

 言われている。

 やめましょう。

 無駄遣い。

 

「よし‼︎じゃ行きますか!」

 とオレは気合いを入れた。

 

 すると優依が

「あたし、かき氷食べるー」

 と元気よく言った。

 

 あー、オレもノドカラカラだけど…

 でも、奈美さんは去年ポテトからだったか

 ら、オレもポテトとかから揚げからスター

 トしようかな。

 

 出店に着くと優依は、かき氷を探し出す。

「あ、優依!そこにかき氷あんじゃん」

「ホントだ!行こ!」

 とオレの袖を引っ張る優依。

 

 …えと

 

「和希、優依ちゃん頼んだよ!オレ奈美とリ

 ンゴ飴買ってくるよ」

 と行ってしまった。

 

「優依ー、せっかくなんだし陵とかき氷並べ

 ばよかったのに」

「あ、ホントだ。昔の癖が…つい…」

 …

 優依は、たまに天然を発揮してしまう。

 

 ま、優依とデートみたいでいっか。

 

 オレもかき氷を買った。

 

「はぁ〜、しみるなー」

「うんうん。かき氷がからだに入ってる〜っ

 て感じだわー」

 と二人してかき氷を堪能した。

 

「あ、カステラもあるよー。ソーセージも食

 べたーい」

「とりあえずかき氷食べてからな」

「はぁーい」

「ほんと優依、食べるの楽しそうだな」

「うんっ‼︎」

 

 優依の幸せそうな笑顔が見れてよかったな。

 

 …でも、これからは優依の笑顔を陵が隣で

 ずっと見ていくんだ。

 

 ずっと…

 …

 って、いつまで?

 

 …

 

 

「優依、」

「ん?」

「食いしん坊ー」

「何それー、あはは、わざわざ名前呼んで食

 いしん坊かーい」

 

「「あはは」」

 

 …ほんとは優依、かわいいよ。

 って言いたかった。

 

 でも、そんな事オレが言うべきじゃないん

 だ。

 

 オレは幼馴染。

 そう。

 ただの幼馴染なんだから。

 

 と自分に言い聞かせた。

 

 続く。

 

 

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