第2話 寝てたら拉致されてた
『マル対は無事確保⋯⋯ウホッ』
『手首と足首に内出血⋯⋯オホォ⋯⋯ゴホン、続いて喉に炎症、臀部に擦過傷有り⋯⋯ハァハァ』
『ナニ⋯⋯コレ⋯⋯これが、本当にチ〇ポなの?』
『司令、味見させてください⋯⋯味見が、したいです⋯⋯』
『超吸水パンツが意味を成していない。⋯⋯オラ、許可ァァヨコセヨォォォ』
被害者の確保に向かわせた非正規の部下から来る報告と見せかけたナニかに頭痛と溜め息が止まらない。まさか自分がこれを現実でやるなんて⋯⋯と、コメカミを抑えて項垂れる司令。36歳喪女。
私からのコードネーム・フォックスの評価は直前まではとても優秀な部下であった。そう、少なくともこの任務に就かせる前までは。
今はどうだろう? ただの拗らせすぎた処女である。任務はほぼ達成出来ているからいいんだけど、野生の男なんだから一刻も早く安全な場所に隔離しないと色々拙い、と若干説教染みた口調で注意する。
『ハァッ⋯⋯ハァハァ⋯⋯んはぁっ』
「テメェコラクソ女郎が!!! ヤってねぇだろうなオイ!!! 何が悲しくて処女の喘ぎ声と変態染みた呼吸をASMRで聞かされなきゃならんのだ!!」
彼のこれからの事を思うと私も味見しちゃっていいんじゃないかとは思うが、一応は信用第一な業種の仕事。クライアントの意向には従わなければならない。なのにこの女郎は⋯⋯高性能なイヤホンのせいで出来の悪い創作物を見ている感覚に陥る。
有り得ない状況に遭遇して混乱したクライアントがドッキリを疑ってカメラや仕掛け人を探し回っている隙に、何者かに男を連れ去られていたという、なんとも形容し難い事を真面目且つ狂気を孕んだ勢いで説明された私の気持ちも考えろ。お前は早く、迅速に、疾く連れ帰ってこいってんだ。
「早く戻れ。ハイエナ共に嗅ぎつけられたら目も当てられないぞ。いいな、早く、戻れ」
『んほぉっ⋯⋯チッ、了解』
ああ、不安でしょうがない⋯⋯
◆◆◆◆◆◆◆
私は
これでも私、この界隈では有名で依頼成功率は100%の凄腕なの。180cmオーバーの身長と女には珍しい平たい胸のお陰で、男装すればアソコに蜘蛛の巣の張った女郎共はイチコロ。
もし女とバレてしまったとしても、金を払うから抱いてくれと言われる程の美貌を誇るのよ。これは自慢でもあるが、同時に呪縛でもある。
そう、男性に全くモテないのである。
男性にアピールしようとも背が高くて本物より良い男に見られてしまう私は、一目見た瞬間から恋に堕ちる対象外でしたと言われてしまうのだ。こんな見た目でもマジモンの女なのに⋯⋯
有名になるにつれて、本業よりもハニートラップ要員としての仕事が増えていく。それに連れて金も使い切れない程貯まっていく。
情けない処女をアヘアヘ言わせて金を稼ぐ日々だった。わざわざ名指しで私に処女膜を破って下さいなんて依頼も来たりする。ふざけんな!!
私だって⋯⋯私だって⋯⋯マ〇コにチ〇コ突っ込んで欲しいのよ!! 仕事だとしても何が悲しくてペニバンを付けて腰を振らなきゃいけないのよ!! したいんじゃいの!! 小説のようにロマンチックな雰囲気で貫いて欲しいのよ!!
仕事を初めてから苦節六年、彼氏いない歴=年齢の24歳。悶々とする気持ちを殺意に変換して日々生きている⋯⋯そんなメルヘン拗らせ処女な私だったけど、今現在、人生最大の分岐点に差し掛かっています。
いつものクソみたいで殺る気の起きない退屈な仕事と高を括っていた。実際、これまで変に期待しても全く変わらない仕事だったから仕方ないじゃない。
“ターゲットを殺して、目標物を奪って来い”って命令だけで、その目標物が男とは思う訳ないじゃん? 寧ろそう思えるだけのピュアさが欲しい。
それに⋯⋯何? このナニは? 私が愛用しているダーリン君28号なんて比較にならない大きさじゃない!!!
『
アンドレイ猪子さん、貴女の名言はこれまでよく理解出来ていなかったわ。迷わずイけよ、イけばわかるさ!! って訳で、私イッきまぁす!!
⋯⋯挿入らなかった。そらそうだ。
サイズで惑わされたけど、この御神体、勃っていないもの。掴んで穴に導く
それに私、パンツ脱いでいなかったし。焦りすぎよ⋯⋯流石、処女だわ⋯⋯情けない情けない情けない⋯⋯
「ハァハァ⋯⋯」
大丈夫、私はヤる時はヤれる女。人工授精で私を産んでくれたフラスコママ、私、真の女になるよ!!
「いっただきまー『ザザッ⋯⋯オイ、フォックスまだか?』⋯⋯チィッ!!」
邪魔された。一世一代の大勝負にケチがついた。必死の抵抗虚しく、早急に帰還せよとなった。一応任務中だし従わざるを得ないけど⋯⋯
司令、お前マジ許すまじ。私との契約が切れたら、その瞬間殺してやる。絶対に⋯⋯絶対にだ!! 私は殺る時は殺れる女だからな!!
もし⋯⋯この運命のナニ⋯⋯じゃない、運命の人をお前が摘み食いをしようとでもしたら、わかってるよな? あぁ、想像しただけで憎い。
「⋯⋯殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス⋯⋯殺す」
私、今まででイチバン、
私は暗殺者、これからもずっと暗殺者。
◆◆◆◆◆◆◆
途中、紆余曲折はあったが無事にフォックスは対象を保護して戻ってきた。それで⋯⋯なんと言うか、根っからの暗殺者であるフォックスが正気を失った原因を目の当たりにした。
アレはダメよ、うん、アレはダメ。ナニよあのナニの大きさ!! 形!! 色!! そして金玉は!! 創作物ですらもっとリアリティがあるフィクションなのに!! 男性ファンタジーエロ小説のクッッッソ馬鹿馬鹿しいありえない設定なんて目じゃないわよ!! そんなんよりも数億倍えげつないじゃない!!!!
途中私からの妨害があったとしてもよく堪えきれたよねフォックス⋯⋯私は貴女を心の底から尊敬するわ。ちょっとフォックスからの視線に殺気が込められすぎていてフォックスを直視出来ないけど。
「お疲れ様でした。今回の緊急招集分の報酬は追加で振り込んでおきます。下がっていいですよ」
⋯⋯下がらない。下がってくれない。と言うか、私へ向ける視線と殺気が一層強くなっているのは気の所為と思いたい。
「⋯⋯私に我慢を強いたんだ。その人を自分で摘み食いするとか、誰かに摘み食いさせるとかは考えない方がいいよ。もし⋯⋯そんな事になったら⋯⋯アハァ」
「――ッッ⋯⋯わかっているわ、そんな事にはならないから安心してちょうだい」
座っていて良かった。そして我が組織の特製超吸水パンツを履いていて良かった。詳しくは言わない、これで察して欲しい。
何よアイツ!! 怖すぎでしょ!? よくもまぁこの国の司法はアレを野放しに出来ているわね!! 私がその立場なら絶対にアレは放っておけないわよ!! 馬鹿なの? 死ぬの? 権力者の天敵じゃない!! まぁ、私達にはとっては助かる存在だなのけど⋯⋯
「救急班、対象の診察及び手当を。諜報班は対象の戸籍や経歴を徹底的に洗って!! それと、もし対象に手を出したらその瞬間にフォックスが敵になるから、全員に徹底させなさい。いいわね? 一時的に得られる快楽の代わりに一生の地獄が待っているわよ? それも、この組織の人員と関係者全てに」
殺し屋フォックス――暗殺麗人とも呼ばれる現役最強の暗殺者。
まるで散歩をするように要人を殺し、世界各国に彼女の自称女が沢山いる。彼女の機嫌を損ねれば、世界中に無数に散らばっている彼女のファンに表側で追い詰められ、裏では彼女の報復を恐れながら日々を暮らさなければならなくなる。地獄すぎる。
そうなれば、彼女の同業者やボディガード的な人員は宛にならなくなる。それは彼女が怖いから相手をしたくないという強い意思表示。フォックスか依頼かならばフォックスを取る。誰もが。
五年前、ピカピカのルーキーだった彼女の活躍を妬んだ当時最大勢力の暗殺者グループが彼女を排する為に集っていたのだが、いざ決行日を迎えてみれば、逆にそのグループと傘下組織が全員漏れなく殺される事件が起こった。
一夜にして三百人以上が殺された。名の通った人物、それなりに有名な人物、新進気鋭のグループ、ついでとばかりにパトロンまで、全てが皆殺しの大虐殺。それを行ったのは若干19歳の小娘。
このセンセーショナルな事件は瞬く間に裏社会を駆け巡り、『フォックスとは敵対するな、フォックスの主張は全て正しいとして絶対に折れろ』が合言葉になったのだった。
どの現場にも遺されていたのは、彼女を表す狐のお面唯一つ。
組織の主要人物の死体はもちろん、傘下組織の主要人物、パトロンなどの顔面に彼女のトレードマークであるお面が着けられていた。その下は誰がわからない程に潰されていた。
そんな事件があって以降、狐は裏社会全体で畏怖の対象となった。
「⋯⋯了解。アレの相手は無理ですからね、徹底させます」
「頼んだわよ⋯⋯はぁ⋯⋯」
野郎はまだ、目を覚まさない。
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・人物紹介
24歳 処女 膜無し
凄腕暗殺者
体型はワンピースの肩紐を外せば一瞬でパージ出来るくらい
容姿の所為で14歳の時にヤンキーに目を付けられ集団レ〇プされそうになり、反撃を試みた際に才能が開花&恐怖で色々バグる
やられたら殺り返しすぎる性格
コードネーム・フォックスは苗字の狐から
司令
本名は削除済、司令としか呼ばれていなくて本人も名前を忘れている
36歳 処女(膜有り) ケツ穴狂い
クール系メガネビューティー
ボンッキュッズドン
母親の借金のカタとして7歳の時に売られ今に至る
主人公
ナニがヒかれる程デカいのが悩みでお産経験済みの嬢でギリギリ卒業できた※以後出禁
黒髪短髪の雰囲気イケメン 程良く締まっているが筋肉はそんなになく喧嘩等はセンスが無さすぎて弱い
性欲は強め
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