第32話 舞踏パーティー当日
正直、なめていた。
舞踏パーティーなんて大層な名前はついているが、所詮は生徒主催によるイベント。
一部で学園の手が加わっているものの、運営の大半は生徒会がしきっているということだったのであまり期待していなかったのだが……そこはさすがに伝統誇るアストラ学園の舞踏パーティー。
学園内にある大きなダンスホールはこの日のために飾りつけられ、吹奏楽部の先輩たちによる生演奏で雰囲気もバッチリ。
ちなみにこのダンスホールの存在はゲーム内でも言及されてはいるが、フィールドとして作成はしていないので入ることができない。
キャラクターのセリフで全体像はぼんやりと浮かぶようになってはいるが……こうして本物がしっかりと形になって目の前に現れると感動するな。
今でも心にこれほど響くのだから、実際にゲームを作っていた頃に同じような体験をしたら卒倒していたかもしれない。
さらにパーティーの雰囲気を盛り立てている要素のひとつが生徒たちの衣装だ。
ここに通っている者の多くは貴族や富豪の子息及び令嬢なので、このような席では「何を着てくるか」がひとつのトレンドとして注目される。
テオリアもきっと凄いドレスを着てくるのだろうな。
今から楽しみだ。
――っと、あまり浸ってもいられない。
このパーティーでは多くのヒロインが一堂に会するだけあって俺の死亡フラグが乱立している。
ただ、テオリアやシエルといった一部ヒロインに関するフラグは事前の成立フラグが破綻しているため発生しないものと予測できる。
ここで重要になってくるのは……やはりサラ先輩か。
ただ、婚約者であるテオリアとのペアを断ってサラ先輩を誘うというのは周りからの心証を悪くしてしまうのは明白。
とはいえ、話を聞くところによるとサラ先輩は誰ともペアを組まず、パーティーの防衛に全力を注いでいるようだ。
生徒会長という立場もあるのだろうが、それ以上にジェロードに対する執着のようなものを感じていた。
なので、仮に俺が誘っていたとしても断られていたかもしれないな。
さて、ここからはフラグに注意しつつも、学園編で一番の見せ場でもある舞踏パーティーを楽しむとするか。
俺はパートナーであるテオリアをエスコートするため、彼女との待ち合わせ場所――ダンスホール近くの噴水へと急いだ。
すれ違う生徒たちはすでにパートナーと合流しており、これから会場入りをするようだ。
目的地に到着すると、すでにテオリアが待っていた。
「すまない。待たせてしまったようだな」
「私も今ちょうど到着したばかりだから気にしないで」
「ならよかった。――ドレス、よく似合っているよ」
「っ! あ、ありがとう」
すかさずドレスを褒める。
これもまたフラグ阻止の……いや、そんなの抜きにしてよく似合っている。
もう眩しいくらいに。
俺も気合を入れてエスコートしなくちゃな。
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