第23話 俺の死亡フラグが多すぎる!

「エナード・ガディウス……あなたはどこでジェロード・シャマランの名前を知ったのですか?」

「学園については入学前からいろいろとチェックをしていたのですよ。その際、彼の名前と実力を知りました」

「なるほど……勉強熱心で感心ですね」


 見え透いた建前だな。

 実際のところは「余計なことを」と好感度が下がってしまうような感想をもたれたに違いない。


 ただ、俺からすると学園長は死亡フラグにかかわる人物ではないためそれほど重要視していない――が、ジェロードに関しては別だ。


 原作ゲームだと、ヤツは学園から退学処分を命じられ、それから武装組織を作り上げてリーダーに君臨。


 多くの人々を不幸へと追いやる悪役となり、主人公たちの前に立ちはだかる。


 ――そう。


 言ってみれば俺とジェロードは役割がかぶりまくっている。

 厳密に言うと、俺はどちらかというと噛ませ役で、ヤツはキッチリと悪事をこなして主人公を追い込むライバル的なポジションと言えた。


 もちろん、学園卒業後にジェロードと対立。

 打ち破ることで次のシナリオへ進めるのだ。


 なので、本来であれば主人公が颯爽と登場してジェロードの企てを阻止する流れになるのだが……って、ちょっと待てよ。


 妙だぞ。


 ジェロードが主人公たちと接触を試みるのは卒業後のはず。

 学園在学時は鳴りを潜めており、武装集団の設立ももっとあとのはず。


 ……念のため、確認をしてみるか。


「学園長」

「なんですか?」

「これは憶測ですが……ジェロード・シャマランは何か組織を作り上げ、そこのメンバーがこの学園に奇襲を仕掛けようとしている――というような内容のタレコミがあったのではありませんか?」

「っ!?」


 一瞬ギョッと目を大きく見開く学園長だが、すぐに平静を装う。

 けど、俺は目撃してしまった。

 ほんのわずかな時間だが、間違いなく学園長は動揺していた。


 つまり、俺の見立てが正しいということだ。


 ――って、まったく喜ばしくないぞ。

 むしろ困るくらいだ。


 シナリオが本来の流れを無視して進みまくっている。


 正規ルートではまだ大人しくしているはずのジェロードがすでに動き出している。

 これは由々しき事態だ。

 俺の考えたシナリオが破綻しているというのか。


 それとも――もしかしていろいろと引っ掻き回した俺のせい?


「うおぉ……思い当たる節が多すぎる」


 誰にも聞かれないようこっそり呟いた。


 ともかく、ジェロードを止めて舞踏パーティーを開催させなくては主人公の正体は分からずじまいになるし、俺の死亡フラグが一新されるかもしれない。


 多少無茶になるかもしれないが……こうなれば向こうが仕掛けてくる前にこちらから動き出してみるとしようか。

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