第65話 オリエント王国

 無事に国民への挨拶をを終えた翌日……。俺達はオリエント王国に向かう。オリエント王国は歌劇が有名らしい。見れたら見たいね。せっかくだし。


「オリエント王国でもしっかりやるんだぞ?」


「うん、分かってるよ」


「ホントかなぁ〜?」


 エルフはうっさい。こういう時はスルーだ。スルー。大人の対応だから君達もしっかりとここで学ぶんだぞ? ……えっ、必要ない?あっ、そうですか……。


「では、俺がお見送りしますね」


「エド、悪いな。でも、結構近いから大丈夫だぞ?」


「いえいえ。これぐらい。というか、イーサン王にお見送りしろと言われていますので」


「そっか。じゃあ、国境付近まで頼むよ」


「はい!」


 エドの親切に甘えてお見送りしてもらうことにした。俺は面倒くさがってしないと思う。……いや、絶対にしないね。


「もうすぐですね。マコトさん!」


「うん、そうだな。エドもここまでありがとな」


「いえ、全然。マコト殿、オリエント王国でも頑張ってくださいね!」


「頑張ります!」


 それから俺は転移魔法の準備をして転移を開始した。エドは無邪気に手をブンブン振っている。まるで子供だなぁ。もう可愛くてしょうがない。なんか息子?を見てるような気分なんだけど。……そして数秒後。


「着いたーーーー!」


「エルフはよくはしゃぐよなぁ」


「むっ! 別にいいではないかぁ〜」


「まぁ、いいけどさ」


 さてと。最初は国王への挨拶だな。これまた緊張するんだよ。怖い人だったらどうする?イーサンみたいな優しい人がいいなぁ。イーサンは怒ると怖いけど……。


「マコト様ーーーー!」


「ん? 誰?」


「誰か走ってきますね」


「だな。……もしかして国王の側近の人じゃないか?」


「なるほど……」


 ……失礼だけど側近には見えないんだよなぁ。ブンブン手を振ってコッチに向かってきてんだもん。エドみたいな無邪気さは無いけどね。


「えーと……。君は誰?」


「失礼しました! 私はオリエント王国国王の側近のエドワードです!」


 ……側近だった。にしてもまさにオリエント王国らしい服装。タイネクタイにスーツ。イギリスとかヨーロッパら辺の服装だな。それにしても若いから新人かな?


「私は新人ですが心配しないでくださいね!」


 うん。俺の予想はバッチリ当たってたね。スーツに着せられてる感が出てるからなんか分かる。自分でも経験したし、他の人のも見てたからな。……ストーカーじゃないよ?


「心配しかないんだが……」


「大丈夫です! ……それと会談は明日でもよろしいでしょうか?」


「別にいいぞ?」


「軽っ!……ゴホン。失礼いたしました。国王が準備をしたいとかなんとかで。今日は国内を案内いたします!」


 軽いって言われてもな。イーサンにも言われたし……俺って軽いの?ってか、準備って何してんだろ。もしかしてもてなしの準備とか?そういうのしなくてもいいのに。俺はただ気軽にやりたいし、対等でやりたいんだけどね。


「オリエント王国の自慢はなんと言っても紅茶ですよ!」


「紅茶は好きだなぁ。フロールは飲んだことあるか?」


「飲んだことはありませんね。私は魔物ですので外交とかは無かったですし、こういう経験はありませんので……」


 そっか。魔物はあまり良い印象を受けてないんだ。この問題も解決しないとな。この世界って結構問題が山積みだよね。なんとかしてくれよ〜。政治家とかの辛さが理解できるかも。表面的には出さないけど、裏では絶対にぶっ倒れてたり、愚痴を言ったりしてそうだなぁ。文句とか言われ続けてさ。まぁ、人間そういうもんか。


「紅茶は会談でも出ますのでお楽しみにしててください!」


「そうだな。街並みが元の世界に似てるかも」


「マコト様って異世界転移人ですもんね。マコト様もこんな感じの街並みに住んだらしたんですか?」


「いや。外国がこうだったってこと。俺は住んでないけどテレビとかで見てたなぁって」


「テレビ?」


 ……この世界にはテレビが無かったのか。説明すんの面倒くさいから省こうっと。


「俺の世界にあったものだから気にしないで。……要するに懐かしいなぁって感じ」


「そういうことですか! なるほどです!」


 理解してくれたみたいだけど……コイツ、大丈夫か?色んな意味で不安だな。側近だって言ってだけど、正直言って無理だと思う。不向きだよ。多分ね。


「紅茶の他には何かないのか?」


「ありますよ! スコーンとかいろいろです!食べ物以外だとこのスーツとかですね」


 スコーンは知ってるけど食べたことが無い。それよりもエルフが目をキラキラ輝かせてヨダレを垂らしている。汚いが食べたい気持ちはよーく分かるよ。でもね、少しばかり我慢して欲しい。今は大事だし。どうせ明日食べれるんだから。……会談で。


「それよりも歌劇が有名だって聞いたんだが……」


「よくぞ聞いてくれました! 精霊歌劇アルビアンはもうとても有名で有名で!」


 メチャクチャがっつくじゃん。まぁ、自国だからな。そりゃあアピールするよね。俺はアピールはしなかったけど。別に楽しんでってくださいねぇぐらいだよ。


「マコトさん! 私、歌劇見てみたいです!」


「そうだな。俺も見てみたいかな」


「俺も俺も〜!」


 エルフはジッと見れるのかよ!コイツ、絶対途中で飽きたとかなんか言って帰るだろ。俺はもう既に予想済みなんだよ。


「会談が終わったら見る予定でしたよ!」


「ホントか!」


「はい。それで今日は特別にアルビアンが練習してる場所に案内します!」


「いいのか?俺達が言っても」


「はい! 許可は既に取っています!


 ……許可を許したのは俺が国王だからだと思うよ。それかオリエント王国の国王が頼んだとかね。それぐらいのお偉いさんじゃないと許可は降りないと思うよ。


「では、早速向かいましょう!」


「案内頼んだぞ?」


「任せてください!」


 俺達はエドワードの案内の元、精霊歌劇団アルビアンの練習施設に向かうこととなった。




 


























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