第14話 新しい服と刀

 俺はゼフと地獄のような特訓をして足が動かなくなって倒れた。ちなみに特訓内容は走り込み。例えると体力テストにあるシャトルランの最初から速いバージョン。


「……やばい。俺、ゼフにおんぶされながら寝たと思う」


 そう。足が動かないからゼフにおんぶされながら帰ったのだ。俺はあまりにも疲れすぎていたからそのまま寝てしまった。恥ずかしい。俺は高校生だぞ! しかも男子!女子じゃあるまいし。もし、ここに同級生がいたら別な意味で笑われるな。


「よし、もう足は大丈夫みたいだ」


 足が動くかどうか確認してみんながいるところに向かう。多分今は昼食どきなので食堂にいるはずだ。つまり俺は昼まで寝ていたということになる。これもこれで恥ずい。


「あっ、おはよう」


「マコト、おはよう」


「おっはよう!」


「おっ、足はもう大丈夫みたいだな!」


 笑わない……。もしかして知ってて言わないようにしてくれている?だとしたら優しい人たちだ。エルフはゼッタイに笑ってくる。俺はもうエルフの性格を知り尽くしているからな。


「フロール! 早く早く!」


「もう少し待っていてくださいね?」


 何やら食堂から声が聞こえてきた。この声とやり取りからしてエルフとフロールだな。エルフは食い意地が強いからな。特にフロールの作った料理は絶品だ。お菓子を作るのもうまいし……。お菓子って言っても和菓子だけどね。まだ、洋菓子を作る技術はないみたいだ。


「皆さん。昼食が出来上がりました……マコトさん! 足はもう大丈夫ですか?」


 フロールが持っていた食事を一旦テーブルに置いて俺に抱きついてきた。人生で初めて抱きつかれた。ヤバい。これはマジでヤバい。何がヤバいって?察してくれ。俺の今の状況を。分かってくれ。俺の今の気持ちを。仕方ないから教えてあげるけどフロールの胸があたってるんだよ!決してキモいとか思ってても言うなよ?思ってほしくもないけどさ……。


「フロール。そろそろ離れてやれ」


「申し訳ございません! 私ったら何を……! ごめんなさい! マコトさん!」


 ナイス! アルファ!俺の気持ちを分かってくれたんだな。まぁ、同じ男だからね。そりゃあ分かってくれるよ。


「フロールも抱きつくなんて大胆だね!」


 ホワイトさん。うるさいですよ。この言葉入りません。余計です。


「じゃあ、気を取り直して……いただきます!」


「お主!昨日、ゼフにおんぶされて寝ながら帰ってきたんだって?」


 ブフゥゥゥゥ! やめろよ! 吐き出しそうになったじゃないか!


「ププーーーー!ウケる!」


 ウッセ! こっちは地獄の特訓をやってきたんだよ! エルフもやってみるか?結構鬼畜だったよ。ほんと。


「エルフ、それには俺にも責任があってよ。結構キツイ特訓にしちまったんだ」


 ゼフはほんと優しいな。もちろんゴブリンもアルファ達もね。……エルフは優しいんだけどこう言うところがね。まぁ、俺は別に気にしてないんだけど……。


 それにしてもやっぱりおいしい!毎食こんなおいしいものを食べることができるなんて俺は幸せもんだなぁ。


「マコト。頼んでいた服と刀が出来上がった」


「えっ!ほんと!」


「まぁ、見せてもらったんだが……」


 なんか雲行きが怪しいぞ。なんかあったのか? やめてくれよ?トラブルは。……昼食を食べ終わりそのまま食堂でとりあえず服を見せてもらった。


「ん? なんか数多くない?」


「ああ、それがな。頼んだヤツが張り切りすぎてマコトだけじゃなくて俺達の分も作ってくれたんだ」


 いいじゃん! しかもみんなでお揃いなんていいじゃん! 早速着てみよう!……ということで着替えましたとさ。


「これ俺の憧れてた軍服!」


「喜んでもらえて良かった」


「似合ってんじゃねぇか!」


「結構似合ってるよ! マコト!」


「お似合いです!」


「普通に似合うな!」



 アルファ達もみんな着替えてきたわけだが流石イケメンと美女達。俺よりも存在感がある。エルフは相変わらず普通って言ってくるよな。マジなんなん?……それはさておき、みんな軍服だがデザインは少し違っている。そこがまた良い。これで仲間感も出せるし一体感もでる。


「それと……刀だ」


「うわぁ! 本当にありがとね!」


 もらったからにはきちんと使いこなせるようになんないとな……。また、特訓だな。これ。それと、俺はアルファ達に言いたいことがあった。


「ねぇ、この機会だから言うね。結構真剣に考えてもらいたいんだけど……」


「ん? どうした?マコト」


 俺がいきなり、そして珍しく改まって言うもんだからみんな驚いちゃってるよ。でも、これから話す内容は俺が少し前から考えていたこと。アルファ達の今後にも繋がる。俺はこれから俺自身が考えたことを話すのだった。








































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