第6話 鬼族の領土

 俺は治癒魔法、建築魔法、スキルの導く者を獲得しゴブリン村を再建した。沢山お礼を言われたのだがここで新たに問題が発生した。


「実は木を切る際に多種族の領土を少しだけ超えてしまったのです」


「はい?」


 これは魔獣やらという前にやばい問題点だよね?なんで?気をつければいいだけだよね?


「すみません! オレッチがやってしまいました!」


 大変素直でよろしいが自分のことをオレッチっていうのは初めて見たな。というか見るからにアホそう。


「まぁ、過ぎたことは仕方がないけどさ。……どうなっちゃうの?」


「こりゃあ怒るよ。カンカンに。ちなみにどこの種族の領土?」


「……確か鬼族です!」


「なっ……なんとーーーー!」


 エルフがとんでもない顔して驚いている。ムンクの叫びと似てる(笑)


「で?鬼族はやばいの?」


「当たり前だよ!ゴブリンが束になっても敵わないくらい。まぁ、謝れば許してくれる……かも」


「じゃあ、謝りに行こう! 許してくれるよ。行くのは俺とエルフと……君、名前は?」


「ゴブオです」

 

 自分のことをオレッチと言うだけあって名前もなんか可愛かった。……そんなこんなあって長老たちにはお留守番を頼んで3人で鬼族の元へと向かった。なんというかあっという間に着いたな。


「種族ごとの領土が狭いね」


「確かに」


「あっ! 着きました。……怖いです」


 明らかに怖がってんな。マンガでもあったけどゴブリンは最弱に分類されるからなぁ。ビクビクするのも仕方ないか。


「なんか睨みつけてるよね?」


「お主は怖くないのか?」


「うん、あんまり怖くない」


「スゲェ!」


 お? 凡人だって言われなかったな。進歩した!……誰かに聞いてみるか。偉い人に用があるからね。聞いてみないと!


「すみません! この中に偉い人いませんかーーーー!」


「「何やっちゃってるの!?」」


 俺、まずいことした? だってここで突っ立てても意味ないじゃん? なんかザワザワしてるけど……。


「偉い人って頭領のことか?」


「誰だアイツら……ゴブリンもいるぞ」


 ……お! なんか明らかに強い人が来た! しかも、5人で。


「お前らか。俺に用があるってのは」


 いかにも偉そう。その他の4人は側近かな?


「えーと……はい。そうですね。用があってここに来た感じです」


「つまり頭領を狙っているのか? そしてゴブリンの領土を広げようと……」


 勘違いしてますね。全くそのつもりはないんですけど。もしかしてゴブオを連れてきたの間違いだった?


「いや、そんなつもりないです。マジで! ホントに!」


「問答無用! この領土に足を踏み入れた時点でその意思あり!」


 うお! 刀を抜いて炎をこっちに飛ばしてきやがった! ヤバいな……。謝罪のつもりが全然違う方向に行ってる。


「エルフ……魔女なんだろ? 戦ってくんない?」


「無理」


 応答が早い! もちろんゴブオは無理だし……。なんか武器ないかな……。魔法でも使えればなぁ。炎とかさ、氷とかさ。何でもいいんだよね。使えればな。あっ!マンガで出てくるユニーク魔法がいい!俺、憧れてたし。


<ユニーク魔法を獲得しました。喜志星誠のユニーク魔法は一定時間の相手の技封じです。その名も……>


「マギア・スフラギダ!」


 俺が唱えた途端、炎が消えた。お相手さんも驚いてますね。願えば魔法とかスキルとか貰えてるけど……何で?まぁ、いいや。


「貴様……」


「ん? 降参?」


 鬼族のお偉いさん方も本気で掛かってきたのでこちらも本気で行く。最初は謝罪のために来たのに何でこんなことになったのかと疑問に思いながら戦うことになった。
























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