『アブラゼミ』

街路樹の下で あぶらぜみが

背を下にして 足を必死に動かして

もがいてたんだ


起こしてあげるのが

優しさなのだろうか


このまま死なせてあげるのが

優しさなのだろうか


残り少ない命を 

苦役から解き放つことも 

優しさかもしれない


助けてもすぐに

カラスに食われるかもしれないのだ


私は迷った末に

セミを元の体勢に 戻してあげた


セミはうれしそうに

私にオシッコをかけて

飛んで行ったよ

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