(二)-10

 そう言われて松ヶ浦は今までしてきたことを頭の中で振り返った。証拠を残すような真似はしていないはずだった。

「首相も幹事長も、この件、重視しています。明朝、マスコミ各社の社長と臨時に会食し、圧力をかけます」

「君がか?」

「いえ、長老が、です。私なんか小物ですよ。誰も相手にしません」

「地検には?」

「さすがにそれは最終手段だと思います。それをやって公になれば、次の選挙は確実に負けます」

 それもそうだと、松ヶ浦は思った。


(続く)

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