(二)-8

 松ヶ浦は焦った。これは非常にまずい。

 記事は匿名の関係者からの証言がメインだった。落札価格などのところは役所の公文書として開示請求されたものが挙げられていたが、それだけでは状況証拠になり得ても、不正についての直接の証拠にはならない。

 そういう意味ではすぐに逮捕されるなどといったことはないはずだ。

 しかし掲載された雑誌が文潮というのがよくなかった。この雑誌の特集は「文潮砲」と呼ばれ、マスコミ各社も一斉に飛びつく格好のネタを提供することで有名だった。


(続く)

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