(二)

 松ヶ浦伊之助が民自党議員会館三階の大会議室で行われていた税制調査会の勉強会を終え、会議室から出たところである男性に声を掛けられた。

松ヶ浦は声の主の方へ振り返り、その顔を見て「鵜坂うさか君か」とだけつぶやくように言った。

「おはようございます。今日の『週刊文潮』の件、聞きましたか」

「文潮? いいや」

 松ヶ浦がそう返すと、鵜坂と呼ばれた男は、週刊誌を差し出した。

 それは『週刊文潮』の最新号で、本日発売の雑誌だった。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る