戦争A
Γケイジ
第1話神死魔去人在
神は死に悪魔は去りそこには人が残された。おとぎ話の時代は終わりを迎え、そこから人一人が死ぬ頃には鉄と火薬が支配する時代が訪れた。歴史は千年の木樽で醸され神話となる。
蒼空を見よ、飛び回るのは鳥か?竜か?
海原を見よ、浮かぶは鯨か?木船の亡骸か?
大地を見よ、制するは獣か?山神か?
蒼空には我ら、飛行戦士が居る。
海原には我ら、弩級戦艦が居る。
大地には我ら、機関銃手が居る。
今日、昨日も明日。僅か目の前、血と泥濘の一歩さえ硝煙に閉ざされ見えない。
人々は呻き、喘ぎ小さく願う。
「「我々に安寧を」」
小さな願いは束ねられ、熱され打たれる。
それらは弾丸となり装甲となる。
いたいくるしいたすけて、むすこよむすめよははよちちよわがつまよ。
いたいくるしいたすけて、むすこよむすめよははよちちよわがつまよ。
いたいくるしいたすけて、むすこよむすめよははよちちよわがつまよ。
嘆きは雷鳴にかき消された。獣の怒号が響き渡った。
今、戦争が始まる。今、神話が刻まれる。
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