第95話 伝説の爺ちゃん

 実のところ、俺は爺ちゃんの事をあまりよく知らない。というのも爺ちゃんはあまり自身の事について話したがらなかったからだ。

 それに、当時ガキだった俺にとって、爺ちゃんの強さは“めちゃくちゃ強い”くらいにしか感じ取る事ができていなかった。


「爺ちゃんの伝説って……」


「師匠である父から聞いた内容と噂程度の話しか知りませんが、とあるダンジョンを攻略した方だと聞いております」


「とあるダンジョン?」


「はい。そのダンジョンというのが、武京国の西にある『奈落迦ならか』という島のダンジョンです。

 このダンジョンは超高難易度に加え、かなり特殊なダンジョンだと聞いております。なんでも、ソロでのみ入場ができるダンジョンであると。そのダンジョンに挑む武人や冒険者はいましたが、制覇したのは現在に至るまでたった2名のみ。

 ちなみに、大獄様以外のもう1人は情報が伏せられており詳しい事は何も知られておりません……」


 ソロでのみ入場可能なダンジョン? それはダンジョンの役割的にどうなんだろうか。奈落迦ならかダンジョンには何か秘密がありそうだ……いや、それよりも今は爺ちゃんの事だ。


「爺ちゃんって、そんなに強かったんだな」


「あと、もう1つ……あの、非常に言いにくいのですが……」


「ん? 気にしないから言ってくれ。あの爺ちゃんなら何やらかしてても驚かん」


「えっと……親子喧嘩で、無人島を1つ消滅させました……」


「……は? ……え!?」


 いやいや、さすがにそれはエグいって……


「親子喧嘩って事は、俺の親父とか?」


「はい。相手は息子の朱点しゅてん様と聞いております。喧嘩の理由はわかりませんが……。

 武京国は個人の武を重んじる国ですので、その一件以降も逆に尊敬を集め大獄様は『闘神』という異名で呼ばれています。あと朱点様はその後消息不明です」


「思った以上にぶっ飛んでてさすがに驚いたわ……まぁ両親は顔も覚えてないし実感湧かないんだけどな。

 あと、爺ちゃんは今どこにいるか知らないか? 実は、俺が14歳になるまでは爺ちゃんに育ててもらっていたんだが、ある日『明日から自分の力で生きていけ』って言われて突然居なくなったんだよ」


「そうなのですね……現在の居場所は分からないですが、祖国に帰れば何か分かるかもしれません。ルザルク殿下にも武京国への使者の役割を仰せつかっていますし、それとなく調べてみます」


「そうか……色々情報ありがとな。

 そういえば禅も通信型魔導具を持っているんだよな? 俺もルザルクに渡されているから何かあったら連絡してくれ。それと、俺に何かできる事があったら協力も惜しまない」


「分かりました。何かあったら連絡させてもらいますね」



 その後、アルラインへと戻ったころには既に夕刻となっていた。

 街で禅と別れアルラインのクランハウスへと戻った俺は、フォレノワールへと帰還転移をし、みんなにもルザルク達と決めた内容や爺ちゃんの事を伝えた。

 

 現在の状況を整理すると、俺達は魔族に対抗する力を手に入れるため、レベルを上げる必要がある。

 しかし、序列戦後も雪山やアルラインダンジョン、戦争などで戦闘は行っていたが、相手のレベルやランクが低く、あまりレベルは上がっていない。

 とりあえず、現状の【黒の霹靂】全員のステータスを確認しておいた方が良さそうだな。


〈ステータス〉

【名前】百目鬼 阿吽

【種族】羅刹天

【状態】

【レベル】54

【属性】雷・闇

【HP(体力)】5300/5300

【MP(魔力)】1160/1160

【STR(筋力)】129

【VIT(耐久)】55

【DEX(器用)】20

【INT(知力)】129

【AGI(敏捷)】120

【LUK(幸運)】35

【称号】迷宮の支配者Ⅲ

    雷帝

【スキル】

 ・鉄之胃袋

 ・痛覚耐性

 ・体術(Lv.3)

 ・刀術(Lv3)

 ・大食漢

 ・鑑定眼

 ・疾風迅雷

 ・雷鼓

 ・雷属性魔法(Lv5)

 ・空舞

 ・涅哩底王(技巧)

 ・探知

――――――――――――――――――――

<装備品>

 ・白鵺丸

 ・秘匿のピアス

 ・耐魔の指輪

 ・阿久良王和装一式

 ・武京黒雪駄

――――――――――――――――――――



【名前】キヌ

【種族】金狐

【状態】

【レベル】50

【属性】火・光

【HP(体力)】5000/5000

【MP(魔力)】1400/1400

【STR(筋力)】20

【VIT(耐久)】62

【DEX(器用)】20

【INT(知力)】140

【AGI(敏捷)】81

【LUK(幸運)】13

【称号】従属者

    炎姫

【スキル】

 ・光焔万丈

 ・火属性魔法(Lv5)

 ・光属性魔法(Lv2)

 ・人化

 ・危険察知

 ・心理眼

 ・双剣術(Lv2)

――――――――――――――――――――

<装備品>

 ・双剣ミズチ

 ・隠蔽の指輪

 ・浴衣ドレス(絢)

 ・花柄下駄

――――――――――――――――――――



〈ステータス〉

【名前】深紅シンク

【種族】般若姫

【状態】

【レベル】52

【属性】地・水

【HP(体力)】8000/8000

【MP(魔力)】550/550

【STR(筋力)】73

【VIT(耐久)】126

【DEX(器用)】38

【INT(知力)】55

【AGI(敏捷)】22

【LUK(幸運)】10

【称号】従属者

    変幻自在

【スキル】

 ・勇猛果敢

 ・ガードインパクト

 ・地属性魔法(Lv4)

 ・水属性魔法(Lv2)

 ・斧術(Lv3)

 ・人化

 ・他種族言語理解

 ・挑発

 ・調理

――――――――――――――――――――

<装備品>

 ・変形巨斧【怒簾虎威どすこい

 ・隠蔽のネックレス

 ・冥土服

 ・レースアップロングブーツ(黒)

――――――――――――――――――――



〈ステータス〉

【名前】ドレイク・ベレスティ

【種族】龍人

【状態】

【レベル】52

【属性】氷・風

【HP(体力)】6800/6800

【MP(魔力)】700/700

【STR(筋力)】93

【VIT(耐久)】68

【DEX(器用)】46

【INT(知力)】70

【AGI(敏捷)】82

【LUK(幸運)】10

【称号】従属者

    破壊帝

【スキル】

 ・氷風武装

 ・雲蒸竜変

 ・風属性魔法(Lv.3)

 ・氷属性魔法(Lv.4)

 ・竜化

 ・飛行

 ・剣技(Lv.3)

 ・棒術(Lv.2)

――――――――――――――――――――

<装備品>

 ・赤鬼の金棒

 ・隠蔽のネックレス

 ・龍雅和装一式

 ・竜人族のブーツ

――――――――――――――――――――



〈ステータス〉

【名前】ネルフィー・ガーデン

【種族】ダークエルフ族

【状態】

【レベル】50

【属性】樹

【HP(体力)】2900/2900

【MP(魔力)】600/600

【STR(筋力)】40

【VIT(耐久)】32

【DEX(器用)】79

【INT(知力)】60

【AGI(敏捷)】95

【LUK(幸運)】25

【称号】従属者

    光陰

【スキル】

 ・至妙

 ・樹属性魔法(Lv4)

 ・観察眼

 ・隠密

 ・弓術(Lv.4)

 ・短剣術(Lv.2)

――――――――――――――――――――

<装備品>

 ・アーブルアーク

 ・パラライズダガー

 ・忍装束【くノ一】

 ・足袋

 ・黒布のマフラー

――――――――――――――――――――



 次の進化がどのタイミングかは分からないが、魔族を相手にすることを考えると60レベルまでは上げておきたい。効率的に魔物を狩っていく必要がありそうだが……最近の上り幅から考えると、ちょっと厳しいかもしれない。いくつかのダンジョンを探して攻略するか、危険地帯と言われている場所を探すか……。

 よし、皆の意見も聞いてみよう。


「1か月という期間で、効率よくレベルを上げていく方法を今から検討したいんだが、何か良い案はないか?」


「阿吽様、よろしいでしょうか?」


「お、そういえばシンクはソロの時、短期間でかなりレベル上げてたよな。どうやったんだ?」


「その時は、モルフィアの森で低ランクのダンジョンを発見しましたので、“周回攻略”を行っていました。アイテムはあまり良いものは出ませんでしたが、レベルは効率よく上げられたと思います」


「ん? モルフィアにダンジョンがあったのか? 落ち着いたらそこも吸収しに行く必要がありそうだな。それよりも、周回攻略?」


「はい。ダンジョンは出口から出て、また入り直しますと、モンスターやボスなどが復活しており効率よく狩りを行うことができます」


「あ、そういうことか! 俺の場合、見つけたダンジョンは全部初回にコアを吸収してたけど、普通はコアルームの存在自体知られてないんだよな。盲点だった……」


「ってことは、次行く『沈黙の遺跡』がダンジョンだった場合、コアを吸収せずに周回攻略して、最後に吸収すれば経験値も稼げてコアも吸収できるって事っすね!」


「そうなるな。よし、その方法を試してみるか」


 何か思ったよりアッサリ決まったけど遺跡がダンジョンでない可能性もある。まぁそれに関しては行ってみないと分からない。


 その後は、長旅に備えて今晩中にプレンヌヴェルトの村で消耗品や食料などの補充を行った。

 そして翌朝、『沈黙の遺跡』へ向け竜化したドレイクに乗り出発するのだった。

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