第72話 ヤパン、イーヨからの使者

 領地も発展してきて順調な生活の中で僕もフェルも13歳になったよ。ラウールさんとサハーラさんもめでたく結婚したんだよ。式はグレイハウ伯爵領で行われて、僕とフェルも出席したんだ。あまり大規模ではなく、親しい関係者だけの結婚式だったけど、ナニワサカイ国からジーク兄さんとセティナ姉さんの2人が出席したんだよ。

 式の後は屋外で披露宴が行われて、道行くグレイハウ伯爵領の領民にもお酒やジュース、食べ物が振る舞われたんだ。領主の結婚に領民の人たちも心から祝福していたよ。

 フェルは2人を祝福しながらもうらやましいってつぶやいてたから、僕はフェルとの結婚は成人(15歳)したら直ぐに行おうって心に誓ったよ。後、2年だからそれまでに誰にも負けないように身体も心も更に鍛えないとダメだと誓ったんだよ。



名前:トーヤ・ハイナイト(伯爵位)

年齢:十三歳

種族:人種

位階レベル:43

性別:男

性格:アレオッパイ星人・思春期特有の病

称号:転生者・フェルの伴侶【手続上】

体力:295

気力:495

技力:357

魔力:1,020

魂力:1,575

技能:魔力操縦・全属性魔法(MAX)・身体強化(絶大)・気配察知(範囲指定、超精細)・刀技(MAX)・見極眼みきわめ(MAX)・隠密行動(19)・料理(19)・小太刀(MAX)・加工師(10)

加護:アメノウズメの加護

   【道具箱】【知識箱】

   (ツクヨミの加護)

   (【月光】)



名前:フェル・ハイナイト(伯爵夫人【手続上】)

年齢:十三歳

種族:人種

位階レベル:28

性別:女

性格:妄想癖・思春期少女特有の病

称号:トーヤの伴侶【手続上】

体力:186

気力:248

技力:204

魔力:326

魂力:392

技能:魔力操作・身体強化(強大)・属性魔法(18)【赤・水・緑・茶・金】・剣技(15)・短剣術(MAX)・交渉術(18)・ねやの知識(16)・魔力感知(3)

加護:ククリヒメの加護

   【不屈】

   ヒルメの加護

   【天真】



 僕もフェルも努力を怠らずに鍛えてきたから、位階レベルも順調に上がっているよ。王都の屋敷で暮らしている僕とフェルは、学校も卒業して普段は何をしているのかというと…… 領地と王都を行ったり来たりなんだけど、領地ではロッテンや街長のローレンさんからの報告を聞いて問題があれば対処したり、職人たちの仕事を視察したりしてるんだ。後はトモジさんに【工具改良・改造】を依頼して新たな魔道具を作成してもらったりしてる。

 そして王都では…… お爺ちゃんの相手が主たる仕事なんだ。そう、ハール様の相手だよ…… まあ、勿論その相手をするというのが仕事だと言うのもウソじゃ無いんだよ。実は今、ハール様からサーベル王国の現状を学んでいるんだ。


 サーベル王国では王族の親族による公爵家が1家。それ以外の先祖が功績によって公爵位を得た家が【残り2家】あるんだ。ログセルガー家も昔のご先祖様が功績により、その当時の王族から公爵位を賜ったんだけど、もう無くなってしまったからね。


 で、2家のうちの1家がロッテンマイヤー公爵だよ。【王家の影】のまとめ役のハール様の領地に遅くなってしまったけど、遂に手を貸せるようになったんだ。硫黄泉の温泉だったから、僕はガーミット親方と5人の職人を連れて行ったんだけど、すぐさま温泉施設が出来上がったのは言うまでもないよね。そして、もちろん名物は温泉卵だよ。それも評判が良くて、硫黄の匂いにも領民たちも慣れたし、観光、湯治にも客が多く訪れているそうだよ。

 僕の領地やグレイハウ伯爵領とはまた違う温泉だし、2つの領地とは離れた場所だからロッテンマイヤー公爵領の近隣の領地で僕やグレイハウ伯爵領まで来れなかった人たちは喜んでいるみたいだ。


 そんな感じで日々を忙しく過ごしていたある日、王都の僕の屋敷に客人が訪れたんだ。


 セバスがノックのあとに僕の執務室に入ってきた。


「トーヤ様、ヤパン国イーヨ県の大名、ダウテの使者を名乗る者が面会をしたいとやって来ましたが、いかがいたしましょう?」


 ああ、遂に来たんだね。僕の領地に誰一人侵入出来なかったから、正攻法で直接こっちにやって来たようだね。最初からそうしておけば良かったのにね。何人かは無理やり入ろうとして、僕の結界にはばまれて半ば廃人のようになった人も居たよ。まあ、治してあげて再度放り出したけどね。


【会ってみようと思う。応接室にお通ししておいて】


 僕がそう返事をしたら、セバスが


「はい、畏まりました」


 と言って執務室から退出した。僕は身なりを整えてフェルの部屋に行って


【ヤパンのイーヨから使者が来たけどフェルも会う?】


 と確認したら、


「いえ、私は遠慮しておくわ。後でどんな方で、どのような用事だったか教えてね」


 って返ってきたよ。僕は分かったって意を込めて頷いて応接室に向かった。部屋の前ではトウシローが居て


「中にヤーコとナーガが居りますので、もしもの時でも大丈夫だとは思いますが、一応待機しておりますので」


 って、部屋の前で待機してくれると言ってくれたよ。僕は頷いて部屋に入った。


 部屋のソファに座る人物がセバスに僕が主人だと言われて慌てて立ち上がる。


「初めてお目にかかる。ハイナイト伯爵とお見受けする。拙者はヤパン国イーヨの大名、ダウテ・カネチカに仕える者でイナウエ・ノカミと申す。この度は急な事なのに会っていただき、感謝する」


 うん、まあ、お国が違えば言葉遣いも変わるよね。セバスは目を光らせて無礼を咎めようときてるけど、僕が目線でやめさせたよ。


【初めまして、私がハイナイト伯爵でトーヤと申します。早速ですがどのようなご用件でしょうか?】


 僕がサラサラと紙に書いて見せると使者のイナウエさんが僕にこう言ってきたんだ。


「うむ、実は亡命したいのだ。拙者と拙者のまとめる村人たちをトーヤ殿の領地にかくまって貰えぬだろうか?」 


 はい?


 僕は想像していた言葉じゃなく、亡命という言葉に呆気に取られてしまったんだ……




✱注

(第62話で、ブンさんが言ったダウテ・ムネチカは先々代になります。ブンさんもトモジも長寿人種です。2人が若い頃にイーヨを治めていた大名のムネチカは既に死去しており、先代は隠居し、今のカネチカに代替わりをしています)

 

 

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