第65話 トモジの得た加護

 で、僕とフェルは今トモジさんの部屋に居るんだ。何故かヤーコさん侍女も居るけど……

 何でも、


「出来る侍女は仕える方のお側に常に居るものなんです。はい〜」


 という事らしい…… そうなのかな?


 僕はヤーコさんに悪いけど話を聞かれないように遮音結界を張ったんだ。遮視結界までは張るのをやめたけどね。


「さて、ワシがトーヤの領地に行くに当たってトーヤに知らせておく必要がある事を、今から言うぞ」


 トモジさんがそう言ってタメを作った。僕とフェルはゴクリッと緊張で口にわいたツバを飲み込む。


「ワシが神から得た加護じゃが、3つある。【工具箱】と【工具改良・改造】と【魂視こんし】の3つじゃ。【工具箱】は前世で使用されていた人が手で使用する工具が入っておる。スパナやモンキーなんかもあるが、いわゆる電動工具も入っておるんじゃ。ブンの所に売っておるのは、チェーンソーやセーバーソー、高速カッターなどじゃな。

そして、一般的には工具ではないと認識されておるじゃろう道具も入っておっての。懐中電灯もそうじゃし、発電機も入っておる。コードリールもあるの。恐らくじゃが、修理などに必要と思われる物が入っておるようじゃ。防サビ浸透剤や機械油なんかもあるからのう。まだ全てを把握はしておらんが…… そして、【工具改良・改造】は電池やバッテリーで動くその工具を、今世の物を加工して使えるように改造したり、改良したりするスキルじゃ。前世には無かった鉄より硬い木なんかも今世にはあるのでな。最後の【魂視こんし】はその人の本質というか、魂をる事が出来る加護じゃ。じゃからトーヤが澄也とうやじゃと分かったんじゃよ」 


 トモジさんの説明が終わったよ。僕の【道具箱】の工具限定バージョンなのかな? でも改造、改良は良いよね。僕は魔法でゴリ押ししてるから、今度からトモジさんにやって貰おう!


「トモジさんに加護をくれた神様って聞いてもいい?」


 僕は気になっていた事を聞いてみたんだ。


「おお、いいぞ。お稲荷様じゃ。みな勘違いしておるようじゃが、稲荷は鋳成いなりで元は製鉄の神様だったんじゃよ。たたらの神様でもある。後世では稲の神様として祀り上げられたがの。宇迦之御魂大神うかのみたまのおおかみ様の加護をワシは賜っておるんじゃ。後は付喪神つくもがみ様の加護も賜っておるの。その加護のお陰で改良・改造を施した時に必ず成功するようになっておるんじゃ」


 物凄く羨ましい…… そんな加護が僕も欲しかったよ。って、そんな事を言ったらアメノウズメノミコトに怒られちゃうけどね。そう言えば長く自分の能力を確認してなかったや。僕はトモジさんとフェルに了解を貰って自分の能力を確認してみた。



名前:トーヤ・ハイナイト(伯爵位)

年齢:十ニ歳

種族:人種

位階レベル:36

性別:男

性格:アレオッパイ星人・思春期特有の病

称号:転生者・フェルの伴侶【手続上】

体力:269

気力:356

技力:292

魔力:867

魂力:1,085

技能:魔力操縦・全属性魔法(MAX)・身体強化(絶大)・気配察知(範囲絶大、超緻密)・刀技(18)・見極眼みきわめ(MAX)・隠密行動(16)・料理(17)・小太刀(19)・加工師(5)

加護:アメノウズメの加護

   【道具箱】【知識箱】

   (ツクヨミの加護)

   (【月光】)


 

 し、思春期特有の病ってナニ? そんなのにかかった覚えは無いんだけど……

 それにフェルの伴侶ってなってるよ。【手続上】だから、陛下が手続してくれたのかな? コレはかなり嬉しいな。

 あ、技能に加工師っていうのが増えてるよ。腕輪作りとかしたからかな? 細工師じゃなくて加工師なんだね。そうやって確認していたら、フェルが私のも見て欲しいって言うからついでに確認してみたんだ。



名前:フェル・ハイナイト(伯爵夫人【手続上】)

年齢:十二歳

種族:人種

位階レベル:22

性別:女

性格:妄想癖・思春期少女特有の病

称号:トーヤの伴侶【手続上】

体力:153

気力:205

技力:172

魔力:298

魂力:310

技能:魔力操作・身体強化(大)・属性魔法(15)【赤・水・緑・茶・金】・剣技(12)・短剣術(18)・交渉術(10)・ねやの知識(8)

加護:ククリヒメの加護

   【不屈】

   ヒルメの加護

   【天真】



 色々と伝えるとマズそうな部分は紙に書き出さずにフェルに伝えると喜んでいたよ。フェル…… 思春期少女特有の病って、気になるなぁ…… それに、技能にまだ早いと思うねやの知識ってあるけど…… それも(8)って…… 

 まあ、その部分は紙には勿論書いてないよ。夫婦円満の秘訣だよ。【手続上】とは言え既に僕とフェルは夫婦だからね。


「まあ、私とトーヤは手続の上では既に夫婦なんですの!? でも、15歳までは婚約者として対外的には説明しないとダメですわね…… それがちょっと悲しいですわ……」


 そんな中、トモジさんもワシも見て欲しいって言うから確認してみたよ。【魂視こんし】は本質をれるだけで、能力とかは分からないらしいんだ。

 


名前:トモジ

年齢:百三十ニ歳

種族:長寿人種(平均寿命五百歳)

位階レベル:85

性別:男

性格:好色(但し三十路以上のれた女性に限る)

称号:転生者・世界一器用

体力:205

気力:525

技力:3,680

魔力:1,520

魂力:2,120

技能:魔力操縦・魔力適用・身体強化(中)・刀技(MAX)・隠密行動(3)・料理(10)・加工細工師(MAX)・絵心(18)

加護:ウカノミタマの加護

   【工具箱】【魂視こんし

   ツクモガミの加護

   【工具改良・改造】



 ご長寿さまだったよ、友爺ちゃん…… 驚きでつい前世の呼び名を思っちゃったよ。平均寿命が五百って、物凄く長生きなんだね。そして、知りたくなかったよ、【好色】は…… まあ、紙には書き出さないけどね。今度からは領民の中でもれた女性には注意しておかないとダメかも知れないね。トモジさん、老けてもイケてるお顔だからね。


 けど、世界一器用って凄いね。技力が高いし、加工細工師(MAX)って、どんだけチートなんだ。魔力適用っていうのも初見だね。魔力操縦は上手く魔力を操れるけど、適用って事は必要魔力が的確に分かるって事なんだろうね。僕も習得出来るように意識して魔力を使うようにしてみよう。


 紙に書き出した能力を見てトモジさんが大声を出したよ。


「おお! みんな長生きだと思ったら普通の人では無かったのだな! ワシも初めて知ったぞ、トーヤに確認して貰って良かったわい。ブンにも教えてやらねば!」


 そう言って喜ぶトモジさんを見てたら、色んな事がまあいいかと思えてきたよ。そして、話が終わったから僕は結界を解除してトモジさんにまた明日って挨拶をフェルがして、部屋に戻ったんだ。


 トモジさんの部屋から出る時にヤーコさんが


「トーヤ様は本当は喋れるのですね、はい〜」


 って呟いたのは、僕もフェルも気がつかなかった……





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