第13話 僕達の最後の女流雀士

初めて付き合った女の子は、ビリヤードや麻雀を露骨に嫌がった。

恥をかくとか、失敗したくないと言う自尊の表れだと思うが

「ワタシが勝っちゃったら、アンタが恥かくよ!」

位の上から目線で良かったと思う。

そんな訳で、最初の彼女は女流雀士には育たず。

ちなみにその時の面子は

「バンドメンバー」+「彼女」だったので

それ以降彼女と交際することがあっても

なかなか「PLUS」「二人」の面子を確保することが出来ず。

あー、でも精神科のデイケアサービスで

健康マージャンを催していたが

女性参加と言うケースは稀有で

女性は専らソリティアと言うカードゲームに陶酔していた。

ソリティアをおこなうデスクトップPCにも

マージャンゲームが実装されていたが

これは主に僕が陣取っていたかも?

女性とマージャンを結ぶ接点は薄く……。


我妻も余りマージャンをする気には成れず

階下で家庭マージャンを開催しても

我関せずと言った具合だったが

何時しか金銭をボーナスポイントに加えるようになったら

「簡単なルールから教えて!」

逆にせがまれる形に。ツモらない者、喰うべからず?

此処にはマージャンの詳述を極力避けるが

いわゆるビギナーズラックを拝顔するには

充分過ぎるお膳立てだった。彼女は現在、朱雀弐段。

字牌から順番に切る。副露のような他力本願は使わない。

※1副露=ポン、チー、明槓、暗槓

副露行為=他力本願=自力で牌を持って来る癖を付ける。


少し、ルールめいたことを書いたが

おそらく最後の女流雀士に

自分の全てを伝授して、老後の認知症予防に

連れだって遊戯したいと思う。


実弟のファミコンセールスにピクリとも反応しなかった彼女が

義父義母旦那とマージャン大会?

人生100年時代、これからの10年間で

どれだけの知識と技術を妻は得るのか?

※1ファミコンセールス=

「ねぇちゃんねぇちゃん! グラディウスⅡやろうやあ」

「ねぇちゃんねぇちゃん! スーパーマリオやろうやあ」

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