第34話 大都市コロンボ
15時42分、コロンボ駅に到着した。本当は15時27分に到着する予定ではあったが、15分遅れ。発展途上国にしては優秀な方ではないだろうか。
スリランカ最大の都市コロンボにあるコロンボフォート駅は、日本の昭和初期を思わせる佇まいで、懐かしい匂いが充満している。
駅全体も大変埃っぽい。貨物列車がたまたま停まっていたが、マジでぼろい。終戦後、配給を求めて人々が飛び乗っていた列車にそっくりだ。
まだ走るのかな?っていうレベルに映った。
駅の壁には創業当時の写真が飾られていた。いつ頃だろう。1800年代後半だろうか。顔ぶれを見てイギリス統治時代であることは確かである。イギリス統治時代の写真は至る所に置かれていたが、現地の人の顔が写りこんでいるのは本当に少なかった。でもこの写真は現地の人がいっぱい写っていて好感が持てた一枚だった。頑張って生きている感じが伝わってくる。
コロンボフォート駅。佃煮にできるほどの人で溢れ返っている。
ゲートを出た瞬間からトゥクトゥクドライバーの勧誘が激しい。ただスリランカは、一度断るとそのドライバーは必ず引くから、その点は楽である。かなりしつこい勧誘をしてくる国もあるが、この国はたとえ最大の都市であっても営業スタイルはあっさりしている印象を受けた。
本当はジャヤワルダナ文化センターに行きたいと強く希望していたのだが、年末年始は営業なし。この事実を知ったときはかなりショックだった。
先輩教師にジャヤワルダナさんを教えてもらい、スリランカに興味を持った私。高校教師に転身してからも、欠かさず日本分割統治の授業をしてきた。
今回の旅行。おおむね満足しているが、この施設に行くことが叶わなかったことが、一番の後悔だ。
悔やんでいても時間は止まらない。気持ちを切り替えて今宵の宿へ向かう。宿まではグーグルマップによると徒歩12分。グーグル先生にナビをしてもらいながら向かう。途中、信号機前で現地の警官に遭遇した。交差点で、馬に乗ったまま、器用に交通整理をしていた。
この姿を見た瞬間、治安維持法が頭をよぎった。
コロンボの街はワールドトレードセンターなど近代的な建物も多いが、所々に、戦前の日本を彷彿とさせる、時間が止まったままの建物や風景が横たわっている。この二つがうまくかみ合っていて、随所で面白い絵をみせてくれる。
今宵の宿はカプセルホテル。2連泊で朝食あり、日本円にして約4167円。
チェックインして宿の説明を聞き、2日分の宿泊費を支払う。タオルとWi⁻Fiパスワードをもらい部屋を案内してもらう。
通されたのは男女混合の部屋だったが、非常にきれい。宿は入口で靴を脱ぎ、下駄箱に入れるシステムだったのだが、それには抵抗があったので、袋に入れて持ち込んだ。ともかく室内の掃除が行き届いており、ベッドの下にはスーツケースが丸々一個入れられる引き出しがある。ベッドスペースも日本と違い、寝返りも打てるくらいに広い。個室感満載で居心地が良かった。
荷物を整理した後、まだ夕方ではあったが、早めの夕飯を食べに、街に繰り出した。
宿は大統領官邸があったり警察署があったりするエリアに位置しており、常に警備員が巡回していて、本当に治安が良かった。
宿泊先がある通りの突き当りにあった大統領官邸は、観光客よりも警備員の方が多く、物々しい雰囲気を漂わせていたものの、その前に、ちょこんと立たされている、緑色のポストが珍しかったので一枚だけシャッターを切った。
隣にはコロンボフォート警察があった。イギリス統治時代の建物をそのまま使用している建物であり、警察と言われないと分からないくらいオシャレだった。統治時代の建物をそのまま利用している施設は、この他にもコロンボ市内にはいっぱいあった。この頃のコロニアル調の建物は本当に楽しい。
時計台を通り少し街中に出る。時計台の中には、空港によくある警備システムがあり、軍人も2名立っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます